時間が経つのはあっという間だ。すごいはやい。できることならタイムマシンで一ヶ月ちょっと前に帰りたい。

うん、つまるところ、今朝気がついたらもう夏休み最後の日で、机にはまだやり終えてない課題が山になっていた。

机の引き出しを何回も開けたり閉めたりしてしまったのはしかたないことだと思う。

しかし何回やったって机の引き出しにタイムマシンが出現しないのを確認したあたしは、課題を鞄につめてすぐさま隣の家に向かった。

隣の家のリーバーくんは、ちっさいときから知ってるお兄ちゃんだ。とにかく頭がいい。その分かなり口うるさいけど、あたしが苦手な数学も化学も英語も、あっさり解いちゃう、すごい人だ。

「ってわけで、リーバーくん!助けてくださ…っうぶ!」

部屋で眼鏡をかけて勉強中だったリーバーくんに頭を下げる。でも頭を上げた瞬間、片手で顔をつかまれた。そ、それ以上やったらほっぺたとほっぺたがくっつくぞ!
見れば、リーバーくんは眉間にシワを寄せている。いかん、これは説教モードだ!
本能的にそう感じた。いやな予感ほどよく当たる。

「ったく、おまえは毎年毎年…!計画性を持てっつってるだろ!」
「ごごごめんなさいい!」

謝るあたしに予想外の一言が突き刺さった。

「今年は手伝わねーからな」
「えっえええ!?」

目の前が真っ暗になるとはこのこと。頼みの綱があっさり切れてしまった。

どうしよう、とちょっと考える。するとすぐにいいアイディアが思い浮かんだ。こんな時だけあたしの頭ったら回転がいい。

「じゃあさ!家で一人でやってるとサボりそうだから、ここでやっていい?」

事実、自分の部屋は漫画にゲームに雑誌に、と誘惑が多い。反対にリーバーくんの部屋は、なんか小難しい本ばっかりだから。

それに、なんかリーバーくんがいると落ち着く。

てのひらを合わせて頼むあたしに、ため息が返ってきた。

「…しっかたねーなあ…」
「あっありがとう!…って、どっか行くの?」
「ジュース、持ってくる」
「リ、リーバーくん…!そんないい人なのになんで彼女できないんだろうね!」
「…うん、出てけ、いますぐ」


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