新八くんにお使いを頼まれた。今日の晩ご飯の食材だって。しっかりメモまで渡された。あたしがそんなに信用ならないかダメガネ。おまけに心配だからーとか言って銀ちゃんまでついてきた。暇だからーの間違いだと思う。
「えーっと、次は…」 「実紅!」 「ん?」 「プリンが安い!」 「な、なんだと!」
カートを押していた体が銀ちゃんがいる方に傾く。 いやだって…プリンいいじゃない!みんな好きじゃない!おいしいじゃない!
「ちょ、やっべえよ…プリン大安売りだよ…」 「ほんとだ!これは買うっきゃないよね!」 「だろォ?銀さんの観察力なめんなよな」 「甘味に関してはたしかにすごいと思う」 「はっはっはー!もっとオレを讃えろ!」 「これからはプリン将軍って呼ぶよ」 「ちょ、おまえそれただの嫌がらせだろ!なにそのセンスない呼び名!」 「いやあ銀ちゃんに似合ういい名前だよ」
それにしてもプリン安いなあ。と二人で大満足しながらレジを済ませて店を出る。
買い物した後スーパーのビニール袋を持って二人で並んで歩く。それから二人分の影を見てなんか喜んでる自分に気付いた。い、いや違うからね!新婚さんこんなんかなとか思ってないからね!
「実紅、おまえなにニヤニヤしてんの」 「う、え!?してないしてない!」 「そうかァ?」
そうだよ!と言い返しつつ内心冷や汗がやばかった。無意識にニヤつくとかあたし気持ち悪いいい!そんなことを考えてたら急にあたしの持ってたビニール袋をひょいと横から掻っ攫われた。
「…オレ持つし」 「え…なに?どしたの、銀ちゃんが優しいとか大丈夫?熱?」 「ちっげーよ!おまえ何!?銀さんをなんだと思ってんの!?」 「プリン将軍?」 「うわ、おまえそれ絶対新八とか神楽に定着させんなよ?流行らねーからな」
いい名前なのにプリン将軍。ふと軽くなった右手と、もっとオレにふさわしいかっこいい名前があんだろ?とかぼやく右隣の銀ちゃんを見てたまには二人で買い物もいいかもしれないと思った。
ふたりでおつかい!
「で?二人でプリンに浮かれて人参も玉葱も買ってこなかったんですか」 「いや、でもプリン安かったし。な?実紅」 「うん!神楽ちゃんも人参よりプリンのが好きだよねー」 「おうよ!飯なんてなァ白米あれば十分ネ!」 「けちけちすんなよなあ、そんなだからお前は新八なんだよ」 「そうだよ新八くん、そんなだからダメガネなんだよ」 「…あの…僕、帰っていいですか」
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