「ちょ、やばいマジでやばいタップ聞いてっ!さっきね、資料室から大量の資料を運び出してわけよこのか弱いあたしが…なにその顔。あたしだって女の子なんだからな!…そうそう、そしたら班長に会ったの!今日も変わらずよれよれ白衣で顔もやつれてひどかったけどあたしにはかっこいいんだってそんなとこも!で、そしたら班長が手伝おうかって!やばいよね!もう嬉しくって力出てきて大丈夫ですって全部一気に運んできちゃった!……って!しまったあ!よろしくお願いしますって一緒に運んで来たらよかった…!うわっあたしのバカ!」

くっそ、バカすぎる。5分前のあたしをやり直したいお願い神様!もう自分が残念すぎる。っていうかあたしが必死に話してるのにタップはスルーか、スルーなのか。
タップの横に座ってお腹をポンポンたたいたらようやく反応した。あ、でもなんか虫の息って感じ。

「……資料室行くっつって死にかけた形相で出てったくせに…なんだよ、その元気は」
「あっははは、うらやましいかタップ」
「…おまえ、単純だな…」
「しっかたないなあ、ほら飲みかけでいいならあたしのコーヒーあげるよ」

タップのマグカップが空っぽだったから自分のを突き付ける。まああたしのノロケっていうか班長との出来事?をいっつも一方的に聞かせてるしこれくらいね。
あたしのマグカップを言葉にならないような唸り声でタップが受け取ろうとする。まあたぶんありがとうって意味で…

「っわ!」

ドンッというべきかズンッというべきか、なんていうか酷く重たい音がした。と思ったら今までタップとマグカップを持つ自分の手が見えてた視界が真っ白になった。
…え、なにこれ。なにこの、書類の山!
あたしとタップの間に突如出現した書類の山。
呆然としていたあたしはふと側に気配、というか殺気を感じた。

「…は、班長?」

なんかこうオーラが黒い班長を見て、やばい、と本能的に思った。これは仕事の鬼モードだ…!
冷や汗を全身に感じるあたしに対して班長は驚く程にっこり爽やかに笑った。次に書類の山の向こうにいるはずのタップにも。
や、やばいこれ怖い。かっこいいけども!わーい喋れるとか思ってる自分もいるけども!

「あ、あの班ちょ」
「喋ってる暇があったら手ェ動かそう、な?」

な?のところの笑顔が素敵すぎて、それから恐ろしすぎて眠気が吹っ飛んだ。


二つの意味でドキドキしました!


「…リーバーくん」
「なんですか」
「男の嫉妬は見苦しいんだよー?」
「あ…、アンタもさっさと仕事しろッ!」


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