神威が学校を休んだ。それ自体はめずらしいことじゃない。びっくりなのはあの神威が喧嘩やサボリじゃなく、風邪で学校を休んだこと。ざまあみろとか思ってたら携帯に電話。アイスとたくあん買ってこいって。ちくしょうあたしに安息の日は無いのか…!悔しいから阿伏兎を強引に誘って一緒に行くことにした。云業も誘ったのに補習があるからって断られた。アイツ意外に真面目だよなあ。 放課後、アイスとたくあん買いに神威の家の近くにあるスーパーに寄ることにした。 「で、アイスとたくあん以外になんかいる?」 「まあ冷えピタとかじゃねえか」 「あ、そっか。っていうかご飯あるんかな」 「………」 「………買ってこっか、インスタントのおかゆ」 神威の私生活なんか想像つかない。なんかコンクリートとか食べてそう。じゃなきゃあんな頑丈で横暴に育つもんか! なんかパシられっぱなしな事実に気がついてしゅんとしながらカートを押してたら急にカートが重くなった。置かれたのは数本のペットボトル。 「よし、カート代われ」 「へ?」 「一応水とかも買ってくからよ、重いだろ」 「え…ああ、うん。ありがとう」 おお…なんだその優しさは…!こいつも風邪ひいてんじゃね?絶対そうだ! 「…なんだよ、その手」 「いや熱でもあんのかと」 「おまえさん失礼だな」 阿伏兎のおでこに手をあてたけど熱はなさそうだ。 「そうだ、阿伏兎が風邪ひいたら神威たちとお見舞い行くね!」 「やめてくれ…絶対悪化する」 「えー」 「えー、じゃねえよ」 「あ、大勢で行くと迷惑だね、神威だけに行かせる!」 「わざと言ってるだろ」 「あはは、うん!」 無言でデコピンされた。痛い。なんだよー、プリントくらいなら持ってってあげるのにさあ。 「もしオレが風邪ひいたら」 「うん?」 「おまえさん一人でいい」 「…へ?」 「見舞いならおまえさんだけでいいっつってんだよ」 「っ、あ、あたしおかゆ作れないし、林檎むけないよ!」 「なんとかなるだろ」 「ま、まかせとけ!」 はやく風邪 ひいちゃえばいいのに! |