朝6時にいきなり携帯が鳴った。当然のごとく寝てたあたしは寝ぼけながら電話に出る。誰だよこんな時間に。

「もしもし、」
『…おう』
「………」
『………』
「……あのー、」
『なんだよ』

そのぶっきらぼうな低音のなんだよ、で気付いた。電話の相手に。

「…あ、静雄?」
『…そう、だ』
「……えっと、どうしたの」
『……………』
「………しーずおくーん」

全然しゃべんない。電話してきたからにはなんか言いたいことでもあると思うんだけれど。ていうかトイレ行きたい本当。はやくしゃべってくれ頼むから。その願いが届いたのか電話の向こうで息を吸ったのがわかった。

『…あのよ』
「……うん」
『………今、おまえん家の近くの公園なんだ』
「…………はい?」
『出てこれるか、なるべくはやく』
「え、いやちょ、待っ……切りやがった!」

なんなのアイツ!とりあえずトイレに行って適当に服着替えて急いで出る。途中で携帯を見たら、アイツ朝5時から電話3回もしてる。あーもう、なんなの本当!

「…静雄!」
「……おう」

いつも通りのバーテン服。偉そうにベンチに座ってタバコを吸うそいつに声をかけたらまたぶっきらぼうに片手をあげた。そのまま隣に座る。

「…あのさ、5時くらいの電話、全然出れなくてごめん」
「…いや、かけてから5時はさすがに非常識だったかと思ってよ」

それで6時かよとか思ったけどそのツッコミはやめといた、なんとなく。

「それで…どしたの」
「…まだ気付いてねェのか」
「…えー…なんのことかさっぱ、り…」
「…………なんだよ」
「…花?」

会話の途中でいきなりベンチから立ち上がって、乱暴に差し出された花束。
…いやまあ、たしかにバーテン服に合ってはいるけど静雄にはどう考えても合わないし、それをあたしに渡す、意味、も…………………………あ。

「あたしの…誕生日?」
「……おう」
「………」
「……おっ、おまえが言ったんだろうが!誕生日に花束渡されてぇって…」
「……ぷっ」
「な、に笑ってんだてめぇ!」
「ははははっ、ありがとう!」
「…、おう」
「すごい、うれしい…」

…たしかに、そんなこと言ったなあ。
半年くらい前だっけ静雄に話したあたしのくだらない妄想みたいなの。
たしか正装っぽい服で、紳士的にバラとか渡されたい…だったっけ。自分で言ってて笑えたなあ。くだらないって。
だけどちょっと憧れるじゃんか。

それで目の前には一応バーテン服っていう正装?みたいな格好で。バラの花束渡してくれた。これ、花屋で買うの恥ずかしかっただろうなあ。

「静雄はさあ…バカだよね」
「あァ!?」
「…うん大好きだ」
「っはァ!?」



誕生日に花束なんて


title:おやすみパンチ



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