あたしの頭のできがもっとよければいいのに、とこれ程思ったことはない。 団長の溜めこんだ始末書。 「明日が期限の奴とか…もう過ぎちゃった奴もあるみたい」とにこにこ渡された紙の束を眉間にシワを寄せながらもこうして阿伏兎が片付ける。 あたしが、手伝ってあげられればいいのに。 少なくともこうして阿伏兎の仕事が終わるのを待つだけよりも一緒に仕事をしている方がいいと思う。さっきまで5分おきくらいに「待ってたって面白かねェだろ、寝てこい」ってうるさかった阿伏兎も、もう頭をふらふらさせてる。背中しか見えないけれどきっと目もほとんど閉じてると思うんだ。 「阿伏兎ー、おーい」 「…………」 「おいこら、あたし阿伏兎のこと待ってたのにさぁ…先寝るってどーいう了見だよー」 「…………」 「…う、わ。本当に寝てるの?信じらんないこのオッサン」 あたしが呟いた瞬間ふらふらしてた頭がゴツンと机にぶつかって、完全に睡眠開始したらしい。本当ありえない。 悔しいから髪の毛を引っ張る。ちくしょう抜ければいい。なんでこんなふさふさしてんだバカヤロウ。 「ばかー、寂しいじゃん、か…っ!?」 「…痛ェよ。ハゲちまったらどうすんだ」 髪を引っ張っていたあたしの手がいきなり掴まれて、ビックリしていたら阿伏兎が体を起こした。なんだよ起きたのかよ本当ハゲればいい。 「…起きたんなら、はやく、仕事、」 「………おう、悪ィな」 掴まれてた手が離される。な、なんなんだろうこの寂しさは…!阿伏兎のくせに生意気だ…! 「実紅」 「え…なに」 「これ片付くまで、オジサンとお喋りしててくれねェか」 「?、いいけど…」 「黙ってやってっと眠くなっちまっていけねぇよ。それに、」 「?」 「お前さんが寂しがんのは不本意だしなァ」 「!き、聞いてたの…?!あ、阿伏兎なんかハゲればいいッ」 かまってダーリン title:おやすみパンチ |