英雄と同族殺し
その差は何なのだろうか

破壊者はメシアになれない


「アルフレッド様。」
「ああ、ブラスターブレードか。
もう怪我は大丈夫か?」
「はい。
…………あの時はありがとうございました。」
「いや、オーバーロードを退けれたのはブラスターブレードがいたからだ。」
そう言って隣りに座るブラスターブレードの軟らかい藍色の髪を撫でる。
治療を受けてすぐのいつもより軽い鎖胴着のブラスターブレードは、まるで幼い彼と変わらない。
「様なんて他人行儀だな。」
「私は英雄を呼び捨て出来ません。」

「英雄、か。」
「誰かを守るためなら破壊は救世だと、アーリー様が。」
「俺はメシアにはならない。
ただ、ブラスターブレードを守る永遠の破壊者だ。」
「……………アルフレッド!」
戦場に居た彼とは別人に見えて、それでも鍛えられた身体は包帯に隠されていてアンバランスな雰囲気を醸し出している。
二人から見える修練場ではアーリーとリュウの姿が見える。
その姿は少し前までの二人に似ていて、無意識に互いを見つめていた。

「懐かしいですね。」
「ああ。
部屋に戻るぞ、ココアで良いか?」
「アルフレッド、子供じゃありません。」
「様忘れるのは子供だろ。
行くぞ、 」
「アルフレッド!」
ブラスターブレードは遠ざかるアルフレッドの背中を追う。
今だけは騎士団ではなく仲のよい師弟として楽しもうとして、追いついたら彼の旧名を呼ぶつもりで。




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