残り3日



「これ、孝典さんが読んでた小説の原本だ」

ウインドウ越しに目に留まった、一冊の本。
それは、よく見知ったタイトルの原文で飾られた、恋人の愛読書だった。
今日は少しだけ早くアパートを出たから、出社までには時間がある。
コーヒーを飲む時間は、買い物に変更だ。

以前から気になっていた文庫本は、自分用に。
もう一つの袋には、彼へのプレゼント。

「・・・あ。でも、同じ本二冊もいらないかな・・・」

急に不安になって、袋の中をこっそり見直す。

「いらないって言われたら、オレが読もう」

誤魔化すように自分に言い聞かせてみるけど。

「きっと、孝典さんは笑って受け取ってくれる・・・って思うのは、自惚れかな・・・」

少し冷たい風に撫でられた頬は、そんなこともお構いなしに熱くなっていた。




これを書いた日は、ミステリーの日でした。
ということで、ノマちゃんが買ったのはミステリー小説です(笑)


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