仕事からの帰り道、夕飯の買い物がしたいという克哉に付き合い、私達は駅前のスーパーにいた。
彼がどうしてもその店が良いと言うから、少し足を伸ばして来てみると、そこにはすでに人集りが出来ていて、店の奥までは見えない。

「おい、克哉!そっちは危険だ!」

しかし、戦場にも思えるその場所へ、克哉は何の躊躇いもなく入って行った。
私の制止など、まるで無視して。



御堂さんが知っている、彼の弱い所




程なくして、私の元へと戻って来た克哉は、何とも充実した表情で買い物袋を提げていた。

「えへへ。こんな大きな大根が買えちゃいました。これで100円ですよ!あと、今日の目玉のブリも半額!今晩は、ブリ大根です」

「あ、ああ。・・・その為にここへ?」

「そうですよ。今日は、狙ってたんです」

拳を握りながら息巻く克哉は、一戦終えた貌になる。

「・・・・お疲れ様」

「はいっ。じゃあ、早く帰って、支度しないとですね」

「そうだな。君の戦利品を、堪能するとしよう」





日記からの再掲です。

抱き枕に同梱されていたラフブックに滾りすぎて書きました。
他にも悶えた箇所は数え切れないほどあるんですが、読んでいて何だかほんわかして、大好きなエピソードになりました。
御堂さんには、タイムセールなんて多分馴染みがないでしょうから、こういう戦場(笑)は新鮮かつちょっとしたトラウマになってたら可愛い(笑)

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!


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