ホグワーツ特急2

三人のホグワーツでの色んな話を聞いていると、車内に響き渡る声が聞こえた。


《あと五分でホグワーツに到着します。荷物は別に学校に届けますので、車内に置いていって下さい》


その指示に、私はポケットにお菓子が入っているかどうか確かめてからまた荷物を置いて座り直した。
その様子を見ていた三人は、その意図がわかったみたいでケラケラと笑っていた。

汽車はどんどん速度を落とし、完全に停車した。細い通路をみんなで押し合いながら外に出ると、小さな暗いプラットホームが眼前に広がる。

夜の冷たい空気にぶるりと震えると、それを見かねたフレッドがギュッと手を握ってくれた。


「フレッド?」
「これなら少しは寒くないだろ?」
「……ふふ、ありがとう。」


フレッドの手は温くて、マグルの世界で一度見た“かいろ”のようだった。


「イッチ年生!イッチ年生はこっちだぞ!」
「あ、ハグリッドの声だ」
「懐かしいなー。あー、俺らは別か」
「じゃあな、フィー。また組み分けの時に会おうぜ!」
「勿論グリフィンドールでな!」


リーとフレッド、ジョージは最後まで手を振ってくれた。それに私も振り替えし、みんなの姿を見逃さないように慌てて着いていった。


「四人ずつボートに乗って!」


その声に、私は空いていたボートに乗り込む。男の子ばかりだったけど、みんなワクワクしながら今の胸の内を話していた。


「みんな乗ったか?……よーし、では、進めえ!!!」


ハグリッドの合図で、ボートは一斉に進み出す。ユラユラと揺れるボートから見えるホグワーツ城は、創立の時から変わっていない。
月の光に照らされた城は、とても綺麗だった。


「頭、下げぇー!」


素直にそれに従って頭を下げてから暫くすると、地下の船着き場に到着した。
その後、ハグリッドが例のヒキガエルを持ち主に返していた。……見つかったんだ、蛙。
ハグリッドはみんながいることを確認してから大きな拳を振り上げ、城の扉を三回強く叩いた。

ようやく、帰ってきた…――――。
ただいま、ゴドリック、ロウェナ、ヘルガ、サラザール。

そっと城に向かって微笑むと、


『おかえり』



どこからかそんな声が聴こえたのは、気のせいなんかじゃないはず――。