プロローグ
私の為に、自分たちの魔法すべてを注ぎ込んでまで残してくれた“ホグワーツ”。
「どうして……何でそこまでするの…!」
「あら、今更そんな事聞くの?」
「決まってるじゃない!」
「俺たちは、共に過ごしたという、"証"が欲しいんだ。」
「それに、フィーにばかり悲しい思いをさせる訳にもいかないだろう。」
みんなで真剣に話し合った夜。
いつもは喧嘩してばかりのゴドリックとサラザール、それを呆れた目でいつも見つめるロウェナとヘルガの四人が言ってくれた。
“宝物を残す”
私はその日をきっと死んでも――生まれ変わっても忘れないだろう。
「狼男?え、あれだね、ギャップ萌えってやつ?」
「たまにはこの僕に頼ってほしいな!」
「一人で溜め込むなっつっただろーが!」
「ぼ、ぼぼぼ、僕だって…君のことが大切なんだ!」
「…………みんな、まだ僕のこんな姿を見ても友だちでいてくれるのかい?」
満月の夜。
外へ出掛けたリーマスをみんなで追いかけて、問い詰めて、泣いて、怒って、笑って、決意したんだ。
“ずっとずっと、共にいよう”
ただの口約束だけれど、例え何年、何百年、何千年経とうと消えることはない。
「やだ、いやだ…!お願い、そっちに行かないで…リドル……!」
「…僕は、君を連れては行けない。君だけは、僕の“光”であってくれ…。」
世界が闇に染まる夜。
「光なんてあるわけがない」と諦めたようにいつも言っていた彼が、
“君は、僕の光だ”
そう嬉しそうに、やっと見つけた宝物のように暖かく微笑んだリドルを、私は決して忘れはしない。
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カタン、と小さな物音が書斎から聞こえる。梟と白蛇はその音の主をジッと見つめていた。
「……流れが、大きく動きそうな気がする。」
大きな窓から夜空を見上げ、星を眺める。キラキラと輝く星々は、決して良い意味を持ってはいなかった。
彼女のデスクの上にある数々の写真は、皆一様に手を振っている。まるで動画のように。彼女は外から目を写真へとやると、ゆっくりと微笑んだ。
「さあ、忙しくなるね。」
その言葉に同調するかのように、梟と白蛇は小さく鳴いた。
「彼女の役目は、もうすぐ終わる。」
10年前に聴いた声と、同じ声が再び聴こえた。だがそれもやはり確かな確証はなく、違和感を拭えぬまま女は書斎を後にしたのだった。