噂になってるそうで
『フィディオ、今から遊ばないか?』

そんなメールが来たのは、部屋に戻ってから30分後のことだった

「ってことで、俺はでかけてくる」

一応エドガーに報告してから外出しようとエドガーの部屋に行ったら彼はいなく、せっせと台所でなにかを作っていた

「…なにやってるの?」

「昼食を作ってました。フィディオは出かけるのですか?」

「うん。友達に誘われたから…」

「そうですか。では、お気をつけて」

エドガーは少し悲しそうな表情をうかべた

「…念のために聞くけど、俺の分もつくってくれたの?」

「そのつもりでしたが、フィディオの数少ないご友人をまたせるわけにはいきませんから」

数少ないとは失礼な
…と言いたいところだけど、折角作ってくれた料理を無駄にはしたくない

なんか冷蔵庫にあった材料と出来上がってるメニューが全然比例してないし

「お腹すいてる」

「え?」

「だから、エドガーの作った料理…食べさせて」

俺が言うとエドガーは微笑んで「では、リビングで待っていてください」と言った


***

「ご馳走様でした!」

俺はエドガーの作った料理を平らげ、すぐに出かける用意をする

「片付けは私がしておきますので、いってらっしゃい」

「うん!いってきます」

玄関で靴を履き、ドアノブに手をかける

「あ、エドガー」

「はい」

「ご飯、すごく美味しかった。ありがとう!」

言い終わった後に何故かすごく恥ずかしくなったのでさっさと外に出て扉を閉める


***

***

「マーク、遅くなってごめん」

「いや、大丈夫だ。今日学校来てないみたいだったから心配してたが、平気そうでなにより」

「これで風邪ひいてたらどうするのさ」

「フィディオは風邪ひかなそうだから、その心配はしてない」

「…それって」

バカは風邪引かない的な意味じゃない?

「フィディオちょっと機嫌悪いみたいだな」

「今マークのせいで悪くなったんだよ!マークだって夏風邪引きそうじゃないか!」

「わるかったって。ほら、とりあえずどこに行く?」

「そうだなあ…マークはどこに行きたい?」

「図書館」

「却下」

「だよな。フィディオの本嫌いもすごいな」

「挿絵無いと読む気しない」

「絵本でも読むか?」

「……」

「冗談だ。そんな目で見るなよ」

「もういい。俺の独断で決める!マークの家にいこう」

俺はマークの家の方角を指差す
何度か行ったことあるので道は把握している

ちらりとマークの様子を見るとすこし考え事をした後に大丈夫という返事が帰ってきたので二人で話しながら向かうことにした

「そういえばフィディオ昼飯は?」

「今日は食べてきたよ」

「めずらしいな。またカップ麺とかか?」

「ううん。今日はエドガーに……あ」

つい、口を滑らせてしまった

「エドガー?」

「ううん。なんでもないの。気のせいだよ…!さ、マークの家に行こう」

ごまかそうと思ったけれど、当たり前の如く触れて欲しくない問題に他人は結構絡んでくるものだ

「エドガーって生徒会長だよな?」

「……」

生徒会長に世話になるなんて絶対ばれたくない
俺は必死に頭の中でごまかす方法を考える

「もしかして…噂は本当なのか?」

「? 噂?」

噂とはなんだろうか
もうすでに優等生生徒会長なエドガーに任されてることは広まっているのか…?

「なあ、フィディオ…」

「な、なに…?」

「…エドガーと校内でヤったというのは本当なのか?」

「………………は!?」

衝撃的マークの言葉に俺は目を丸くする

どういうこと…?
なんでそんな噂…

「とあるやつが生徒会室からあえぎ声が聞こえて気になって様子を見てたらフィディオが部屋から飛び出してきたとかいってたから」

「あ、ああああ、あああああえぎ声なんてだしてない!!!」

誰だよ!そんなでたらめ振りまいたやつ!
でてこい!
絞めてやる

「…フィディオは生徒会長とはなんの関係もないのか?」

「当たり前だろ!両方男だよ!そんなこと…あるわ、け…」

そこで思い出したエドガーからのキスと告白

「〜〜〜〜っ!ごめんマーク!俺帰る…!!!!」

うおおおおあああああああああっと叫びながら自宅まで走り続ける

よく考えたら俺、もう色々終わってるじゃないか!!




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