偽りを告げて
最近悩んでばかり
悩むくらいなら行動した方が何倍も良い
自分のヘタレさ加減に苛立ちを覚えてきた…

「秋…」

とりあえず、二人きりの空間で無言なのもあれだから俺は目の前にいる君の名前を呼ぶ

「どうしたの?一之瀬くん」

いつものように笑顔でこちらを向く君
ああ、やばい…
言いたいことがあるのに
言えない

「あ、秋…俺…」

早く言わなきゃ…
手術のこと、それから−−…
いや、秋には、心配かけたくない
不安にさせたくない
なら、言わない方が……

『……言い訳か?』

心の中で自分が呟いた気がする
……どうせ言い訳だよ
怖いんだ
伝えるのが
答えなんて…わかってるから…

君は円堂が好きで
俺なんか見てくれないことくらい
分かってる

『弱虫』

ああ、そうだよ
俺は弱虫さ
だから伝えない

『本当にそれでいいのか?』

もう決めたんだ
手術のことも、この想いも
言わずに留めておこう

俺は秋の方をみる


「秋、」

偽りを告げて


(だから、君には幸せになってほしい……)


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bkm
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