嫌な予感がした
朝からフィディオが高テンション
とりあえず、今日は早めに帰ろう
そう思って練習試合が終わり俺は宿舎に戻ろうとした
しかし…
「ブラージ、待ってよ」
「?」
振り返ればフィディオが異常なまでの良い笑顔を浮かべている
「今日は練習試合だったね」
「…そうだな」
「ジ・エンパイアとの練習試合だったね」
「…ああ」
嫌な予感がどんどん膨らんでいく
とりあえずあいつの名前を出される前に逃げたほうが互いの為だ
「じゃあフィディオ、俺はもう行くから。じゃ…」
そういって足早に行こうとしたら腕を凄い強さで掴まれた
「待ってよブラージ」
相変わらずの笑顔
そして
「テレスが折角来てるんだし話していこう?」
悪魔の言葉
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「テレスー」
名前を呼ばれて顔を上げれば手を振ってくるフィディオ
いつもはなんとも思わないのに今日は俺の本能が逃げろと言うくらい嫌な予感がする
「フィ、ディオか…どうした?」
「えへへ」
いつもは可愛いと思う笑顔に今日は恐ろしさを感じる
「テレス、今日はお願いがあるんだ」
「…わ、悪いな…今日は用事・・ぐぁ!?」
すごい激痛のせいで顔をしかめる
手首が凄く痛い
「テレス、お願いがあるんだ」
聞かなきゃ殺す、とでも言われているような感覚に俺は思わずうなずいてしまった
「ありがとう!快くOKしてくれて」
可愛い笑顔でそういってフィディオは俺の腕を放した
手首にあざが出来ている
「で、お願いってなんだ?」
「んー、ブラージとデートしてほしいんだ!」
こいつは悪魔だ
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フィディオから電話がかかってきた
『ねえマーク、デートしない?』
いきなり友達と思っていたやつからの電話
でもフィディオのことは実をいうと好きだ
片思いだから諦めようとか日々思っていたのだがこの電話で俺は喜んだ
「すぐに行く!」
そう告げてマッハのスピードで準備をして愛すべきフィディオのところに向かった
すごく嬉しかった
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とりあえず、計画通り二人を合流させた
マークにも連絡した
今日の俺はついてるとおもう
だって望んだ通りになるから
「マーク早く来ないかな…」
本当は前にテレブラで盛り上がったマモルでもよかった
だけど、最近マークのことを考えると胸が痛くなって気付いたら呼んでた
待ってる時間でもこんな、ホントに来るのだろうかとか不安になってしまうなんて…
「お待たせ、フィディオ」
そう言われ声のしたほうを見たらマークがいた
私服姿のマークにドキドキしたなんて、きっと気のせいだ
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「フィディオの笑顔に負けるなんてな」
あきれた、と言うと目の前にいるテレスは睨んできた
「じゃあお前はどうだったんだよ」
「…同じだ」
お互いに溜息をついた
なぜ今日に限ってこんなに強いのか
「まあいいや、とりあえずどこに行く?」
テレスが聞いてきたので俺はストップをかける
「あ?」
「フィディオとマークを見てみろ。今日のメインはあっちだ」
「……まさか、あいつらの為にわざとか?」
「フィディオが毎日うるさいから、いい加減付き合ってしまえという、俺からのささやかな復讐だ」
「…いいやつなんだな」
「うわっ、やめろ。お前にほめられると気持ち悪い」
「ああ!?ぁんだとてめえ!!」
「二人ともなに喧嘩してるの?」
「「もとはお前のせいだ!!」」
「え…??え??」
(……一緒にいる時間が少なければ、素直な言葉としてうけとめられたのに)