大好き
「フィディオ」

「・・・ん」

「朝。早く起きろ」

ばさっと勢いよく布団をめくればフィディオは寒そうに体を丸める

「まだ眠いよ・・・」

目をこすりながらフィディオはいう

「寝るな。今すぐ支度をしろ。朝ごはんできてる」

「・・・はあ、仕方ないな。起きてあげる」

「なんで上から目線なんだよ!」

「・・・シンイチ。怒ってばっかりじゃ彼女できないよ」

「それ以前にお前がしっかりしないせいだろ・・・」

「ははは」

「笑ってごまかすな」

べしっとチョップをくらわせると額を押さえながら痛そうにフィディオはベッドから降りた

「さっさと着替えて」

「シンイチがやってよ・・・」

「お前の服だろ」

「む・・・」

諦めたように服を掴み着始めるフィディオ
どうしてこんなに無気力なんだ

「zzzzz」

「こら、寝るな」

「シンイチ・・・俺の変わりになりそうな人連れてきて・・・」

「だめ。お前のかわりはいないから」

「じゃあ寝る」

「・・・はあ。フィディオ・・・いい加減準備しないとマーク召還するぞ」

俺がそういうとフィディオは青ざめ、テキパキと手を進めた

「よし!パーフェクト!!」

じゃーんっとフィディオは支度をすませたようだ

「相変わらずマークとは仲悪いのか?」

「んー・・・なんというか、マークに彼女が出来たから一緒にいるのは悪い気がして」

「フィディオは彼女つくらないのか?」

「いらない。だって、俺にはシンイチがいるし」

にこっと天使のような笑顔を見せるフィディオ

(人の気も知らないで・・・)

俺はフィディオに片思いをしている
しかし兄弟だから両思いになんて無理だけど
・・・分かってるんだけど仕方ないよな・・・

「? どうしたの?」

「なんでもない」

俺はとりあえずフィディオと一緒に朝食をたべることにした

「今日学校休みなのになんで行かなきゃならないんだよ・・・」

ぶつぶつ文句を言ってるフィディオ

「先生の頼まれごとを断らなかったお前が悪い」

「だって、困ってる人を放って置くのも・・・・ね?」

「まあ人助けは悪くないんじゃないか?」

「そういえばシンイチも一緒に手伝ってくれるの?」

「いや、俺は部活」

「・・・・・・シンイチ酷い」

「こっちだって大会近いからな」

「・・・む。まあいいし。俺はやればできる子だし」

フィディオはパパッと食事を済ませ立ち上がる

「じゃあ行ってきます!」

「一緒に行かないのか?」

「今日は俺一人でいく!」

ふいっと分かりやすく怒ってるフィディオはぱたぱたと玄関に向かって行ってしまった

「・・・・・・はあ」






***





仕方ないので部活は遅れるって連絡を入れてフィディオを手伝うことにした
そんなに時間もかからないだろうし、機嫌悪いままだと色々面倒だ

確か、化学室って聞いた気がする

俺は化学室に向かった

中に人がいるかいないかの確認のため窓からチラッと中を覗く
そして俺は驚いた

フィディオが化学教師(男)とキスしているから
思考がストップした

(どういうことだ・・・?)

いや、見た感じフィディオは凄く嫌がってるように見えるんだけど・・・
ってか、・・・ああ、

俺は気付けばドアを勢いよくあける

「「!?」」

驚いた様子の二人の間に割り込みフィディオの手を掴む
フィディオは泣きそうな顔をしてる
そのまま手を引き化学室をでる

そして今に至る

「大丈夫か?」

とりあえず家に一度帰りフィディオにお茶を入れる
フィディオはさっきからずっと泣いている

「・・・シンイチ・・・っ」

やっと声を出したかと思えば俺に抱きついてきた

「・・・、フィディオ、あいつと付き合ってるのか?」

そう聞けば首を横に振って否定するフィディオ

「そうか・・・だよな」

じゃないと泣くはずないだろうし
一発くらい殴っとけばよかった
今更ながら後悔した

「シンイチ・・・」

「うん・・・?」

「・・・俺のこと、嫌いになった・・・?」

「・・・なんで・・・?」

「だって・・・、」

再び泣き出したフィディオ
よく見ると首元に赤い痕があった

あきらかに虫さされとかではなく・・・と、いうか朝はなかったし

「・・・それ、あいつにされたのか?」

「ふえ・・・?」

首を傾げるフィディオ
そしてハッとしたように俺に「まさか跡のこって・・・」とか聞いてきた
そりゃあ、フィディオは俺のではないからなにがあろうが別に良いのだが・・・無性に腹が立つ
そう思ったらとめられなくなった

「ひゃっ、う!?シンイチ!!!?」

痕を消毒しようとなめてから軽く噛み付く

「ちょっと黙ってろ」

「ん・・・ッ」

唇にキスをすると驚いたのかフィディオの身体がはねた
そのまま深く口付ける

今やってることは、もろあの変態教師と変わらない
だけど・・・嫌われても良いから消毒をしたかった
あんなやつにフィディオが触られたと思うと・・・イライラする

「・・・はっ、はあ・・・ぁ、シンイチ・・・?」

フィディオは呼吸を整えようと肩を上下させながら俺を見てきた

「あ・・・悪い・・・」

冷静になって俺は凄く後悔した

「・・・シンイチ・・・」

「・・・フィディオごめん・・・俺・・・」

「・・・ううん。シンイチ、えっと・・・俺は大丈夫だよ・・・!」

フィディオが慌ててフォローをしようとしてるのを止めて俺はフィディオを抱きしめる

「俺、フィディオのこと好きだ・・・」

「え・・・?」

「だから、全然大丈夫じゃないんだよ・・・!」

そうヤケクソに告げるとフィディオは俺を抱きしめ返してきた

「・・・大丈夫だよ・・・?俺もシンイチ大好きだから・・・」

「・・・へ?」

がばっと俺はフィディオを離す

「どういう・・・え?いや、あ・・・俺は・・・LOVEでなんだけど・・・?」

「? うん。俺もそれだけど?」

頭が混乱する
えっと、とりあえず・・・

「両想い?」

「うん」

「・・・」

「・・・?」

嬉しい

嬉しい

嬉しい

俺はフィディオを再び抱きしめる

「・・・シンイチ」

「フィディオ・・・!大好きだ」

額にキスをすると嬉しそうにフィディオは微笑んだ


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