ずっと想っていた
円堂くんのことが好き
夏未さんや冬花さんには敵わない……それはわかっている
だけどサッカーやってる真剣な顔や、楽しそうなあなたをみていると幸せな気持ちになれるから、せめて想いが届かなくてもそばにいたかった
「秋!俺、夏未と付き合うことになったんだ」
そう聞かされた時は、不思議と心は痛まなかった
わかっていた、から
あなたの一言で私は失恋した
それでも円堂くんが幸せになれるなら嬉しいから、笑顔で「おめでとう」を伝えた
卒業式の日、放課後私は教室で円堂くんに会った
そこで沢山の思い出を語った
一緒に作ったサッカー部のこと
「本当、サッカーが好きなのね」
「え?」
「円堂くんさっきからサッカーのことばかりだもの」
そう私が言うと円堂くんは「違う話にするか?」と聞いてきたけど私は首を横に振った
「サッカーの話をしてた方が円堂くんらしいもの」
サッカーをしてるあなたは輝いてる
そんな一途なあなたが好きだった
前向きで、いつも元気で……たまに落ち込んでたこともあったけど、それでも立ち直って……すごくすごく好きだった
もう、会えないのかな…
この話が終わったら…雷門中から出たら…もう……
……失恋して諦めてたはずなのに…やっぱり好きだな…
もうかなわないけど、最後に一言くらい良いよね
もう会えないなら
「……円堂くん…私…」
そう言いかけた時円堂くんが口を開いた
「俺、お前のこと好きだった」
「……え…」
私は突然の言葉に驚いた
「だから……秋のこと好き」
「……円堂くん……」
「ごめんな、今日が最後だから今しか言えないなって思って。しかも俺は彼女いるしな」
あなたは苦笑気味に言った
……ねえ、あの日…私に勇気とか自信があればよかったのかな…
涙がこぼれ落ちた
「…!?どうした…?」
円堂くんが慌てた様子で私を見る
ああ、止めたいのに涙が止まらない
「円堂くん…その言葉が聞けただけで良かったよ……」
「え?」
「私も…円堂くんのこと大好き。ずっと好きだよ……だから、幸せになってね」
精一杯の笑顔をみせる
どっちにしても私の恋は実らない
だけど、それでも良かった
あなたに聞けた言葉、ずっと忘れない
そして私達はそれぞれの道を歩きだした