名前を呼ばれた気がした。
あたりを見渡せば、数メートル先に待ち人の姿があった。
待ち人であるブラージは手を振りながら近づいてきた。
「ごめん、遅れた…!」
走ってきたせいか息を荒くしてそう告げるブラージにテレスは首を横にふる。
「大丈夫、まだ30分しか経ってねぇから」
「30分も、だ…」
深呼吸をして呼吸を整える。
そして改めて視線を合わせる。
「遅刻してごめん」
深く頭を下げるブラージにテレスは苦笑する。
しっかりとした性格のせいか、律儀すぎる。
「そんなに気にすることでもないと思う。ところで、こんな時間に待ち合わせだなんて珍しいな」
時計を見ると19時30分だった。
「ああ。今日はお前の誕生日だろ?だからどうしても会いたくて」
「学校で会ったじゃねーか」
「違う。学校じゃふたりきりになれなかっただろ?」
ふたりきり。普通なら、どうしてふたりきりが良いのかとか気になるところだが、ブラージとテレスは恋人同士だから疑問に思うことはない。
「はい、テレス。プレゼント」
そう笑顔で渡されたのは青い包装紙に包まれたものだった。
「『プレゼントは俺』とかベタなことはしないのか?」
「さすがにしないさ。俺なんか貰って誰が喜ぶんだよ?」
ははは、と苦笑気味に笑う。
それを見てテレスは少し考えた。
「俺は嬉しいけどな」
「え…」
「むしろ、プレゼントはお前がよかった。ブラージ」
「……ッ、」
顔を赤くしてテンパりはじめたブラージを見てテレスは上機嫌になった。
大好きだと何回言えばいい?
フィ「っていうテレブラを考えたんだ!」
マク「……フィディオ、そろそろ寝かしてくれないか?」
フィ「だめ!今夜は寝かさないって言っただろ!…で、次の話だけど……」
マク(珍しくフィディオが積極的だと思ったのに……。ああ、誰が助けてくれ)