天然っ

「フィディオが好きだ」

突然マークが俺に言ってきた
あまりにも突然過ぎたので俺は耳をトントンと叩く

「き、聞き間違いかな…」

「聞き間違えてない」

「え…マーク。アレキサンダーに改名したいの?」

「いやいや!どんな聞き間違いだ!フィディオそれは聞き間違いっ!!」

「……じゃあ、なに?」

「………だから、俺はフィディオが好きなんだ」

マークが俺のこと好き?

「フィディオは…俺のこと、どう思っ…」

「俺も好きだよ?マークはすごくカッコイイし、優しくて……」

「ふぃ…フィディオ!……じゃあ、俺と付きあ……」

「俺達、良い友達だよね!」

笑顔でそう言ったら何故かマークが部屋の隅で体育座りしてしまった

「マーク?」

俺はマークの隣に行き首を傾げる

「……フィディオ…」

「ん?」

「友達って残酷だよな……」

「……い、いきなりどうしたの?」

マークの言葉に苦笑するしかなかった
今日の彼は変だ
いつもより、おかしい

「マーク…悩みがあるなら相談のるよ…?」

俺が聞いたらマークは顔を上げ俺を見てからまた顔を伏せた

「フィディオ、俺を見ないでくれ」

「ええ!?なんでだよっ…!俺なにかマークに嫌われることした…?」

「いや、フィディオの純粋な眼差しが眩しいくらい俺は汚れたんだ」

「さっきまで普通にしてたのに一瞬でなんで汚れたんだよ!!汚れてても友達やめないからそんなこと言わないでよ……」

俺は半分泣きそうになる
だって突然見るなだなんて友達やめようぜ!と同じ類の言葉じゃないか

「……フィディオと友達やめたい…」

「心を読まれた!?ってかやめてよ!なんでいきなり友達やめたいって言うんだよ!俺のこと好きってさっき言ったじゃないか!」

「好きだからだ」

マークはそう強く言って俺の肩に手をのせる
そして……

「……ま、、、マーク…?」

なんかいきなりキスされた…
俺は口元に手をそえる

(ええ…!?いきなりなにやって…アメリカンジョーク!?ロシアンルーレット!?あわわわわわっ!?WHAT?もうわけがわからないよっ)

「フィディオ……」

「はいぃっ!!!」

名前を呼ばれてテンパって大声で返事してしまう

「……分かったか…?」

「へ…?いや…突然分かったかと言われても…状況が来いみたいなくらい意味が分からないのだけど…」

「………はぁ…これだから天然は…」

呆れたようにマークはため息をついた
もう俺は頭上に?を浮かべるしかない

「え…マーク、とりあえず…なんで俺にキス……」

「好きだから」

「……………」

好きだからキス?
それは普通だ
だけど友達なのに?

……あれ、もしかして…

「マーク、俺そこまで小さくないよ!!!」

「は!?」

俺の叫びにマークは目を丸くする
だけどこれだけは言わせてほしい

「マークと俺は友達なの!親子じゃないし俺はマークを保護者だなんて思わないからな!!!」

「…………?」

今度はマークが頭上に?を浮かべている

「……マーク、俺のこと子供扱いしてたんじゃないの?」

「何故そうなった…」

俺の問い掛けに頭を痛そうに抑えるマーク
むしろこっちが聞きたい

「だってキスって…家族とか…恋人とかにするもので…」

「そこで何故選択肢が家族になったんだ……フィディオはバカか?」

「なっ…バカって言う方がバカなんだよ」

「子供か!」

「マークの方が子供だろ!」

「………」

「……」

(って違う!喧嘩したいわけじゃないんだよ!)

でも家族の方じゃない選択肢ってことは、恋人……

(まさかな…)

友達でもキスくらいはするかもだし…

「…………マーク…」

「なんだ?」

「俺のこと…好き…?」

「だからさっきからそう言って…」

「likeとloveどっちの意味で?」

「…………」

「………」

「……フィディオ…」

「ふ…え…?」

再び肩に手をかけられ今度は押し倒される

「loveの方……なんだけど」

「!」

その言葉に俺は目を丸くした
今まで友達だと思ってたのに突然の告白

「……マーク…俺、男なんだけど…」

「知ってる」

「かわいくないし…」

「いや、可愛い」

「マークに釣り合わない…」

「………フィディオ…」

ちゅ…

額にキスをされる

「……もう一度言う。俺は、フィディオが好きだ」

「うん…」

「フィディオはどうだ?」

「俺は……」

なんて答えれば良いのだろう
ずっと友達で
好きで
だけどマークとは違う気持ちで
でもマークの気持ちは嬉しくて……


「……マーク…」

「フィディオ…」

「………俺、マークが好き」

「ああ」

「……でも、え…っと、友達としてで…」

「うん…」

「……だけど…っ…マークの気持ちは嬉しいし…キスとかも全然嫌じゃなくて…っ…」

なんて言えばいいのだろう
気持ちが中途半端だ

「…俺…マークのこと…好きなのかな…?」

「……俺に聞かれても困るんだが…」

「だけどさ……」

自分の感情が分からなくて
どうすればいいのかわからない…

「………マーク…」

「?」

「抱いて……?」

「………は?」

「間違えた…抱きしめて?」

「………」

「……だめ?」

「いや、むしろ嬉しいけど…そんなこと言われたら俺、フィディオが可愛すぎて襲いたくなる」

「……襲う?」

「いやなんでもない…やっぱりフィディオ俺を見ないでくれ」

「また!?」

「まぶしすぎるから」

「えー……」

俺は仕方なしに目を反らしてあげる
ところで俺はいつまで押し倒されてる状態なのだろうか
なれなくて辛い

「マークが恋人か…」

「え?」

「そうなったら幸せそうだよね」

「………告白断った直後にそれを言うか?」

「断ってないよ!曖昧にしただけ」

「なお悪い…」

そう言われても
気持ちの整理なんてそう早くつくわけでもない

簡単な気持ちでOKしたくないんだ

だから気持ちの整理が出来たら
その時は……

俺の方から君に…………。


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -