絶対仕返しするから
一之瀬は俺のことが嫌いらしい
いつも半田のことばかり話していて俺といるときよりも半田といるときのほうが楽しそう

「・・・でさ、フィディオ」

「なに?」

「・・・怒ってる?」

苦笑気味に一之瀬が聞いてくる
俺は顔をそらしつつ「怒ってない」と呟いた

自分でも分からない
なんでイライラしてるのか

半田と似てるといわれるのは嬉しい
ほんとの兄弟みたいに半田は俺に接してくれるから好き

だけど・・・
一之瀬と話してるときは少し嫌いになる
なんで一之瀬は・・・

「・・・って、まるで俺が恋してるみたいじゃないかっ」

ガタッと立ちそしてここが喫茶店だったことを思い出して静かに椅子に座る
思わず変なこと叫んでしまった
俺は何事もなかったように飲み物をのむ

「フィディオ、それタバスコ・・・」


「ゴホッ・・・ガハッ・・・ケホケホッ・・・」

一之瀬に言われて気付いたときには遅く俺はむせていた

「大丈夫か・・・?さっきから変・・・」

「そんなことないよ・・・」

「いきなり恋してる宣言するし・・・」

「それは忘れて」

「・・・だれに恋してるの?」

「・・・ふえ?」

一之瀬に質問されて俺は目をまるくする

「フィディオが好きになった人とか知りたいなって」

「え・・・っと・・・まだ、分からないんだけど・・・」

「うん」

「・・・あ・・・えー・・・」

俺からの回答をすごく興味津々そうに待機してる
俺は目を反らそうと思った

「なんで目反らすの?」

「・・・っ、そんな見られてたら・・・話せないっ!」

俺がいうと一之瀬は俺の後ろまで来て目隠しをしてきた
まったく理解できない

「一之瀬?」

「これで話せば問題ない」

「・・・いや、これも話辛い・・・」

そう言ったときだった、きゅうに耳元で一之瀬が「ごめん」と謝ってきた
分かればいい、と思ったけど全然一之瀬は手を離す気がない様子で

「フィディオ・・・」

「ひゃにゃっ!!?」

名前を耳元で吐息混じりに言われたので変な声でたうえに体がはねた

「フィディオ反応しすぎ」

笑いながら一之瀬は俺から手を離す
俺は一之瀬を睨む

「そんなに睨むなよ・・・食事代払ってあげるから」

「うー・・・」

一之瀬はレジに向かう
俺はそれを見つつ心臓がドキドキしてるのを抑える方法を考えながら深呼吸をした

「あ、フィディオ」

「ん?」

店から出てすぐ一之瀬に呼ばれて顔を上げたら唇にやわらかいものが触れた
それが一之瀬の唇だと分かったのはすぐで俺はまた鼓動がはやくなった

「俺、フィディオのこと好きだから・・・君が違う人好きになっても諦めないよ!それじゃあ、また明日!」

そういい残し一之瀬は去っていった

周りからの視線が痛い
俺の顔は多分今赤いだろう

やっぱり一之瀬は俺のこと嫌いだと思う
こんなところに一人で放置するなんて酷い
しかもファーストキスだったのに・・・

今度あったら仕返ししよう

会った瞬間にキスとかでいいかな
俺は仕返しを考えつつ家に帰った


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bkm
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