勝負っ!
「エドガー…」

フィディオの口から独り言のように自然とでたその単語に、チームメイトである俺達は身構える

(ああ、今日も聞かされるのか)

多分、俺達の心には以心伝心したかのように同じ言葉があるはずだ
最近のフィディオは、口が開けばエドガーとかエドガーやエドガーなど…同じ人物の名ばかりで…正直そろそろ聞き飽きたのだが…

「フィディオ!」

「マルコ、なに?」

「そろそろ止めて」と、フィディオに言いたかったのだが、天使みたいな笑顔を見せてくるフィディオにそんなこと言えず…

「練習付き合ってくれない?」

「いいよ!」

(ああ…俺のバカ…)

練習中に、地獄をみるのが確定した

「マルコのヘタレ…」

ボソリと誰かが言った

(そんなこと言うなら、お前が言ってくれ)

今の声はジャンルカだな、とわかりつつ反論も微妙だから心の中で思うだけにした


***



「それでね、エドガーがさー…」

どれくらいの時間がたった?
あとどれくらいで終わる?
もう頭の中をずっとフィディオボイスで「エドガー」って単語が駆け巡ってる
多分はたから見ると俺は屍のようにぐったりしてるだろう

「フィディオ、そろそろ休憩にしないか?」

アンジェロの助け舟がきた。
アンジェロ、お前はマジで天使だ!

「そうだな、そろそろ昼だし…」

フィディオはそういいながら時計を確認する

「今日の昼は当番誰だっけ」

「フィディオ」

俺がアンジェロに聞くと、アンジェロは即答した

「あ、そういえば俺だった…何がいい?」

フィディオが、メニュー考えるのが面倒なのか、何がいいか聞いてくる

「パスタ」

「カレー」

「フィディオが作るものならなんでも」

……ん?今、オルフェウスのメンバーにいない声がしたぞ?
アンジェロも、それに気づいたのか一瞬ピクリと反応して不快そうな表情をする
アンジェロ…顔にだすのはやめよう?
可愛い天使が台なしだ

「エドガー!?」

フィディオが声の主の名前を言う
やっぱりか…
俺はため息をつきながらエドガーをみる

「何しにきた、変態紳士…」

アンジェロが黒い笑顔でエドガーに言う

(さすがアンジェロ…今のお前は悪魔に見える…)

「フィディオに会いにきただけだが?」

エドガーは、気にしてないのかアンジェロの質問にサラリと答える

「それよりも、今日の君も美しい」

エドガーは、フィディオの頬に触れ…

ちゅっ…

「ちょっと待てっ!!うちの副キャプテンになにしやがる」

今、ナチュラルにフィディオの口にキスしたぞ?
俺がフィディオとエドガーの間に割り込む
フィディオは、困っているのか照れているのか…俯いて…

「何って…キスだが?」

エドガーが真顔で何か言ったぞ…
もう駄目だ堪えられない
今までフィディオの口からこいつの名前聞かされるのは我慢したが…

「もうフィディオに触るなー!汚れる!フィディオと交際したければ俺を倒してからにしろーっ」

「勝負か…良いだろう」

「エドガー…マルコ……」

フィディオが、止めようとするがやめる気はない
これからは本気の勝負だ

「フィディオ、向こう行こう…」

アンジェロが、呆れたかのようにフィディオの手を引いて宿舎に行く
フィディオは訳もわからないままついていく

「さて、変態紳士覚悟」

「……手加減はしないからな」



勝負っ!


(って、マルコ…負けてるじゃん…)
(うるせー)


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