いち
「マモル、大変だぁぁぁ!!」

サッカーの朝練中、馬鹿でかい声が聞こえた
声の主をだいたい理解出来た俺は、声のした方をみて驚いた

「よお、フィディオって…え?」

ぜーはーぜーはー
息を切らせてそこにいたのは半田だった

(あれー…半田って俺のこと守って呼んでたか?ああ、そうか聞き間違えか。そうだよな。フィディオがいるはずないよなー)

はははー
一人納得していると、呼吸を整えた半田が近づいてきて勢いよく俺の肩をつかむ

「聞いてよマモルっ!そして助けてくれーっ!!」

「ちょっ…半田落ち着い」

ガクンガクンと肩を勢いよく引いたり押されたりする
あぶねー…舌噛みそうになった……

「俺は半田じゃないよ!!フィディオなんだよ!」

「は?」

俺は、半田の口からありえないことを聞いてしまった気がする

「嘘だろ?」

「本当だよ!!証拠に、空港からここまでの道の途中で俺の体が倒れてる!」

(いや、ひろってこいよ!それは)

心の中でツッコミしつつ、フィディオに何があったか聞いてみる

「何があったんだ?」

「……えっとね」

フィディオは、語りはじめる
さっきまでの出来事を

「俺が、日本に着いて空港から出たところから始まるんだけど」

「うんうん」

「サッカーのドリブルの練習してたら、曲がり角で誰かにぶつかって……」

「うんうん」

「目がさめたら体が縮んでしまっていたんだ!数ミリだけど」

「……」

ははーん…
だいたい話よめたぞ…
こういう時、ぶつかった相手と体が入れ代わるんだよな

「つまり、フィディオは半田にぶつかったんだ」

「いや、宮部さん」

「それ、だれだよ…」

まさかの期待に裏切られた気分
じゃあどこで半田と入れ代わったんだというんだ

「で、話しの続きだけど…人が居ないのを確認してからさ、シュートの練習したんだよ」

「うん」

「そしたらボールが目の前歩いてる人に当たってさ…」

「どんなやつ?」

俺が聞くと、フィディオは自分を指差す

「この人」

「…………」

「…………」

原因はそれか
俺はため息をつく
ってことは半田も今頃パニックに……

「円堂っ!!」

いいタイミングで声がしたが…半田じゃない
だれだよ、と振り向くと…エドガーがいた

「おお、エドガー…」

「違うんだよ円堂!」

ガシッと肩を捕まれる

「俺は風丸!なんかさっき、曲がり角でぶつかったんだよ!!そしたら体が……」

「……風丸、お前の元の体は?」

「家からここに来る途中の道端に落ちてる」

「……」

(こいつらは、放置が好きなのか?)

俺は、仲間の株がさがっていくのを感じていた

「円堂…」

今度は、後ろから聞き慣れた声が聞こえた
半田だな

「半……?!」

ぐわしっ

今までの二人なんてなんともなかったかのように感じてしまうくらい強く肩を捕まれる

「私が…低くなってしまった!!」

「あーっ、俺の体!!ってか酷い!低くないよっ」

「………念のためにきく…お前、名前は…」

「エドガーだが」

「………あっれー?」

俺の計算では
半田とフィディオがいれかわって
エドガーと風丸がいれかわったのかとばかり……
まさかの展開だな……

「ってことは風丸の体には半田がか……」

とりあえず、まとめよう

フィディオ→半田
風丸→エドガー
エドガー→フィディオ
半田→

「円堂!」

嫌な予感がした
今、名前を呼ばれたのが……
声が、どう聞いても風丸じゃない…
いや、普通に部員が来たのかも
ギギギ…と声のした方をみる

「一之瀬…?」

「じゃないんだよ!!信じれないかもだけど俺は半田!!」

「えー………」

余計ややこしくなった状況に
俺はすぐには対応出来なかった


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -