花のJKとか笑っちゃう



そんなわたしも今年から晴れて花の女子高生となったわけですが。
中学を卒業したイコール受験が終わったイコール色恋沙汰に目覚める奴らがいると。そんな残念な思考回路はうちの高校の生徒にも蔓延していて、中学校ではなかったような甘い雰囲気が校内の其処此処で漂っている。
その甘い空気をまとっていない人達は口々に「爆発しろ」だのなんだの言っているが、わたしはというとそんなものに興味はない。だって弟のがかっこいいしかわいいからね。こんなこと言っちゃいけないけど、今目の前にいる男なんて霞んで見え…いや、やっぱりやめておこう。

「好きです」
「ごめんなさい」

こうやってかく言うわたしも告白される機会が増えたが、すぐに謝ってお断りを入れる。ここで恋愛上手な駆け引きをして「ちょっと、考えさせて?」なんて言えたなら上出来だとは思うけど、向こうに期待させる様な行動を取ると去年の夏の二の舞になりそうで怖かった。変に期待させると何するかわかったもんじゃないわ。
そうやって今年に入って二人目の男子を振って校門を出ようとすると、またですかと言いたげな顔をした南沢くんがいる。雷門生と一緒に帰れる位置の学校を選んで正解だった。別に誰と帰るなんて決まってないんだけれど、南沢くんはいつも一人で待っててくれる。たまに拓人と蘭くんと一緒に。
今日のようにお互い一人のときは外見的に恋愛経験が豊富そうな彼だからこういう相談に乗ってもらう。だって外見的になんかこう、うん。

「南沢くん、お待たせー」
「…またですか」
「うーん」

さっきここ通って行った奴、ものすごい顔でこっち見てましたから。といいながら歩きだす。というか何故わたしと南沢くんが一緒に帰ってるの知ってるんだ。そして何故南沢くんを睨んだ。
無関係なのに彼を巻き込んですくなからず不快にさせてしまった様なのでとりあえず謝っておいた。そうしたら

「なんで◎◎◎さんが謝るんですか」

なんてまっすぐ見てくるもんだから(しかし特徴的な眼だ)、なんとなくと言葉をにごした。
と話題を変えようと今日の部活はどうだった?と聞くと、いつもの管理通りですよと返される。徹底的にサッカーを管理する組織、フィフスセクター。拓人がよく悲しそうな目をしてサッカーするから、ある日夜通しで話を聞いたのだ。
聞いたところによると勝敗までも管理している、といい方はかっこいいけど、そんなのただの八百長なのではなかろうか。そんなサッカーで大丈夫か。

「明日、入学式なので午前中で終わりなんです。」
「あ、そうなんだ。じゃあ明日は一緒に帰れないね」

残念だなあ、と言うとすいませんと言われた。南沢くんは何も悪くないじゃないか。どちらかというとわたしの方がごめんなさいだよ。
これまで何ヶ月も交流をもってきたけど、彼のこういう、へりくだる態度?はずっと変わっていない。距離をおかれてるような感じがして嫌なんだけど、それを彼に言ったらまた申し訳なさそうに謝るんだろうから言おうと思ったことはない。

「あ、ここでお別れだね」
「はい、じゃあまた」

いつもの通り、交差点で彼と別れる。そんなとき、わたしは

「じゃあね、篤志くん」

と言う。すると彼は一瞬だけ硬直してその後制服のポケットに手を入れることをわたしは知っている。彼がこう言う不意打ちをされると弟と同じくらい可愛くみえることを知っている。だからついついやってしまうのだ。何か言われる前に、わたしの家の方に走ってここから立ち去ることにしよう、そうしよう。










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