ここ、道の真ん中ですよ



「あ、」
「…えーと、神童のお姉さん」
「俺にパンツ見せた人だ」

開口一番にそれを言うか。ああもう南沢くん固まっちゃったし。もう片方の子は(名前知らない)こっちを指差して止まる。
「パンツ見せた人言うな、だいたい見てないでしょ」
あれはパンツじゃない、スパッツです。それに見苦しい物お見せしましたって謝ったでしょう、と続けた。まったく道のど真ん中でパンツパンツ言うもんじゃないわよ、思春期男子。

「…ところで、お姉さんは雷門中に何か用事でも?」

咳払いをして話を変えた南沢くんがそう尋ねてきたので、本題にはいる。

「雷門中に用があるんじゃなくて、君に用があってきたのよ、南沢くん」

そう、先日彼に借りたハンカチを返しにここ雷門中に来たのだ。夕方にサッカー部は練習し始めるはずだから、もし始まってるようなら監督に挨拶+弟を驚かすためにサッカー棟に入り込んで返そうと思っていたのだ。まあここで会えたからいま渡してさっさと帰ろうとは思ってるけど。
ひゅーひゅー、先輩お熱いねなんて言った弟の同級生にデコピンを食らわせついでに名前を聞いたところ鬼太郎ヘアの彼は倉間典人くんというらしい。典人くんとよんだら叩かれた。

「じゃあ南沢くんは下の名前なんていうの?」
「いや、できれば名字のままで」
「篤志だよ、南沢篤志。」
「 倉 間 」

先輩の名前を呼び捨てしたのが気に食わなかったのか、南沢改め篤志くんは典人くんにものすごい目線を送っていた。ところでこの鬼太郎は典人くん、というより典ちゃんって感じだと思うんだけどどうだろう。

「あ、そうそれでこれね、ありがとう」

ハンカチを渡すとあ、はいなんて言って受け取ってくれた。うーん中学生の後輩男子ってこういう物なのかあ、部活柄女の子との交流はさかんだけど男の子とは本当に交流がないから、この二人との会話はとっても新鮮だった。

「あと、彼とはお付き合いしないことになったから。ありがとうね、はっきり言ってくれて。ガツンと言ってやったわ」
「いえ、俺は別に」
「ふふ、君にああ言われなかったらきっといつまでも引きずってただろうから。ありがとう」

「なに先輩、神童の姉ちゃんに何言ったわけ?」
「変な誤解するなよ、倉間。」
「神童に言っちゃいますよ」
「拓人に言ってもなにも変わらないわよ。」

それにあれはお互いが思いあってないからノーカンだからね、とあの男子に釘を刺しておいたから何ら問題はない。と、ふと時計を見たらもうすぐ部活が始まる時間だ。それを促して彼らを送り出す。

「がんばってねー」
「ありがとうございまーす」
「ではまた」

各々の返事をしてサッカー部に走っていく2人に、思わず口元が緩んだ。











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