赤面+涙は女子専用では



まさか姉さんが相手チームのチアやってるとは思わなかった。」
「わたしだって拓人の学校が相手だったなんて知らなかったよ」

姉弟で家までの道を歩く。

「それにしても、今日はいろいろありすぎて疲れた、早く帰って寝たいわ」
「うん」

さっき男子とあったことは、弟には言っていない。自分の問題だし、言ったとしてもこの子はちょっと怒った様な表情をして気をつけてよ、というのだ。たぶん。

「あのさ、姉さんが言いたくないならいいんだけど、」

そう、いつもこの子はわたしが言い難いだろうと思う質問をするときはこんな風に聞いてくる。わたしはなに、と返してその質問を待った。

「さっき、南沢先輩と何があったの?」
「…南沢?」
「さっき一緒にいたひと」
「フォワードくん?」
「そう」
「姉さん、泣いてたから」

そうか、わたしに助け舟を出してくれてハンカチを貸してくれたメシアは、南沢先輩というのか。でも弟はそんなことを知るはずないからきっとその南沢くんとわたしの間に何かがあったのだろうと思っているにちがいない。

「ううん、拓人が思ってるような事じゃないよ、南沢くんはむしろ助けてくれた方かな」
「…なら、いいけど」

そう言い終えてまた歩き出そうとした時、左手に感じた暖かさ。ぐっと近くなったわたしと弟の距離で、手を握られたんだと気付いた。拓人の顔をみると、夕方だったからなのかは知らないけれど顔を真っ赤にして右手に力を込めていた。ここでうわ、拓人かわいいと言ってちょっと怒られたりしたけど、赤かった顔をさらに深めてこっちを睨む姿も可愛かった。女のわたしよりかわいいってどういうことだってばよ。こりゃ学校でモテるんだろうなあ、冷めてるわたしなんかよりよっぽど拓人を心配した方がいいのかもしれない。











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