甘いままでお願いします



一週間が経ち、とうとう引退試合の日になった。
サッカー部とチア部の集合場所は同じだったけど、できるだけサッカー部の方に目線を向けない様にメンバーと談笑した。人数確認をとってバスに乗るとき、ちらっと向こうを盗みみれば、こちらを見ていたらしい彼と目線があった。慌てて目を逸らす。…なんというか、ものすごく甘酸っぱい。なにこれ。


相手校に到着して、顧問同士の挨拶が始まる。それを横目に校舎を垣間見る。瞬間、わたしは固まった。
ちょっと、これは…どういうことだ
急いでスケジュールプリントを確認する。確かにそこには弟の通うサッカーの名門校 雷門と、はっきりと書いてあった。


「チア部は更衣室使っていいそうで…部長?」
「…あ、うん今行く」


後輩の言葉に少しずれた様な返事をして後に続く。こんなんだったらプリント読んでおけばよかったと、何日か前の自分を叱責した。こんなので練習で完璧にした通りの演技は出来るのだろうか。


我が校のチア部も他の学校と同じく、スカートで演技する。一年の入りたての頃はこんな短いスカートで演技するなんて考えられない!とか、恥らう部分もあったけどいまじゃそんなのお構いなし。
下にスパッツ履いてるし、急いでいるときには階段を一段飛ばしで上がることなんてざらにある。
そんなに気にしてちゃいかんと、そういうことです、先生。
だから不幸にも下から階段の上を見上げてしまった弟の同級生と思しき彼に、「うお、」と驚いた様に言われても、「見苦しい物お見せしました!」と返して急いでメンバーと合流する。すでに向かい合っているサッカー部に小さく頭を下げて、自分のポジションについた。

このときわたし同様相手校について知らなかったらしい弟も、こちらを見て驚いていたなんてその時のわたしは気づくわけもなかった。











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