たからもの



「ルクの携帯って女みてぇだなぁ」

クラスメイトの正直な感想にルファークも苦笑いするしかない。

「うるせぇなぁ、いいだろこっちの勝手だ」

確かにジャラジャラと多くなってきたマスコットやら、ストラップ。
でも、これはルクにとっては大切な宝物。


「ルク!今日部活休みじゃん、一緒に帰ろ」
「ルー兄、掃除終わった?、帰ろうぜ」
「そんじゃあな、二人とも」
「じゃあな」

席にやってきた兄にルクは返事をすると友達に挨拶をし、バッグを持って教室をでる。

「ルー兄と帰んの久しぶりだなー、せっかくだし遊んでかね?」
「いいね、行く!六時までには家に帰るけどね」
「わかってるって」

少しくらい夕飯は遅れたっていいのにルークは本当に律儀だ。
ただ、それが兄の良いところ。
ルクにしてみれば、ちょっとの二人の時間が嬉しいから別に構わない。

「ゲーセン、よってこ」
「久しぶりに対決する?」

「お、強気じゃん、受けて立つ」

一回百円のUFOキャッチャーに五回チャレンジして、景品の多い方が勝ち。

「よし、勝負だ」

二人で選んだ機種。
この時が楽しくて、挑んでいる間は勝負をしてたことなんて忘れてしまう。

「よっしゃ!とれた」
「えー!またぁ?」
「ルー兄だってさっきとっただろ」

ルクを最後に500円チャレンジが終わると結果を確かめるためにとった景品を数える。

「俺の三つ」
「残念、ルー兄俺五つ!」
「ええ!ルクの勝ちじゃんかー!」
「腕、落ちたんじゃね?」
「うー、次こそは!」

そんな会話を交わすと、どちらとともなく景品を渡す。

「もう、鞄につけなきゃな」
「俺もだよ」

ルクだけじゃない。
ルークの携帯もジャラジャラと大量のストラップとキーホルダー。
勝負をしたあとはいつもこうして、互いのとった景品を交換する。

「また、ルクと遊んだ印増えるね!」
「そうだな、また増えた!」

少ない時間だけど、二人だけの楽しい時間。
そんな思い出が、形になって。

(誰になに言われたっていいんだ)

一つ一つが大事な大事な宝物なんだから。





END





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