それだけでいいんです!
「ルクちゃんっはい」
「分かったよ、クッションここ置いて」
ルークはルクの膝にクッションを設置すると、ぽふっと頭を置いた。
「綿棒でいいの?」
「ちゃんと耳かいてほしい」
「了解」
ルークの細やかなおねだりに、弟しては叶えないわけにはいかない。
柔らかな髪をかきわけると耳かき棒でゆっくりとかいていく。
「んっんんぅっ」
「痛い?」
「ううん、きもちぃ」
余りに、体を動かすので痛いのかと思えば…どうやらその逆らしい。
「ルクが一番上手だよな、耳かき」
「気に入ってくれたなら、嬉しいけどさ」
大好きなルークと二人でいられるなら耳かきだって悪くないとルクは微笑む。
「あー、そこ好き」
「赤くならない程度にするからな」
「うん―…」
半分夢の世界に旅立っているルークの耳をかき終わると、綿棒で拭く作業に入る。
「…すぅ…」
「ルー兄?もう寝たのかよ」
耳かきをすると高確率でルークは寝てしまう。
今日は最短記録を叩き出して自分の膝の上で眠ってしまった。
「…」
無防備だ。
寝返りをうって仰向けになった兄にルクはそう、思う。
「ちょっとくらいなら、いいよな…今日の奉仕金って意味で」
額に一度口づけると、そっと、薄く開く唇を塞ぐ。
男とは思えない程、柔らかいそこは何度キスをしたって飽きない。
(可愛いなぁ…)
息苦しい感じがしたのか、むずがるルーク。
それを撫でてあやしながらルクは兄の寝顔で、ずっと幸せに浸っていた。
ルークも、いつも一緒に眠っている相手だからこそ、ここまで緊張を解いて眠れるのだろう。
数時間後、起きたルークが枕代わりなってくれたルクが寝ている間に頬や唇に、同じようにキスをしたのはここだけの話。
END
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