それだけでいいんです!




「ルクちゃんっはい」
「分かったよ、クッションここ置いて」

ルークはルクの膝にクッションを設置すると、ぽふっと頭を置いた。

「綿棒でいいの?」
「ちゃんと耳かいてほしい」
「了解」

ルークの細やかなおねだりに、弟しては叶えないわけにはいかない。
柔らかな髪をかきわけると耳かき棒でゆっくりとかいていく。

「んっんんぅっ」
「痛い?」
「ううん、きもちぃ」

余りに、体を動かすので痛いのかと思えば…どうやらその逆らしい。

「ルクが一番上手だよな、耳かき」
「気に入ってくれたなら、嬉しいけどさ」

大好きなルークと二人でいられるなら耳かきだって悪くないとルクは微笑む。

「あー、そこ好き」
「赤くならない程度にするからな」
「うん―…」

半分夢の世界に旅立っているルークの耳をかき終わると、綿棒で拭く作業に入る。

「…すぅ…」
「ルー兄?もう寝たのかよ」

耳かきをすると高確率でルークは寝てしまう。
今日は最短記録を叩き出して自分の膝の上で眠ってしまった。

「…」

無防備だ。
寝返りをうって仰向けになった兄にルクはそう、思う。

「ちょっとくらいなら、いいよな…今日の奉仕金って意味で」

額に一度口づけると、そっと、薄く開く唇を塞ぐ。
男とは思えない程、柔らかいそこは何度キスをしたって飽きない。

(可愛いなぁ…)

息苦しい感じがしたのか、むずがるルーク。
それを撫でてあやしながらルクは兄の寝顔で、ずっと幸せに浸っていた。
ルークも、いつも一緒に眠っている相手だからこそ、ここまで緊張を解いて眠れるのだろう。


数時間後、起きたルークが枕代わりなってくれたルクが寝ている間に頬や唇に、同じようにキスをしたのはここだけの話。


END





[ 80/87 ]

[*prev] [next#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -