長男式保健の授業〜初体験〜



(早く、帰らなくちゃ…)

部の帰りで遅くなったルークが夜の公園を急ぎ足で歩いていると細々とした声が聞こえる。

(なんだ、ろ?)

風に吹かれてさわさわと揺れた背の低い木が、少し気になりゆっくりと近づいて行くと。


「…ぁ、あぁん!」
「声、あんまり出すとばれる」
「だってっ、ぁっふ!」

飛込んできた光景と声にルークは一瞬動けなくなった。
影と影が重なっていて、暗闇に混じって甲高い声が聞こえる。

「だめっ!だめぇ、イッちゃ」
「っ、く」

ルークは震える膝を叱咤すると、物音をたてないようにその場から離れた。
それは、なんだかその行為を最後まで聞いてはいけない気がして…先程とは違い、ダッシュで公園を抜けて行く。

と、その時。
どん!!!っとぶつかる音がしてルークは尻餅をつく。

「ご、ごめんなさ「ルーク」
「あ、アシュ兄…」

顔を見れば間違いなく自分の兄で安心したためかその体勢からルークは立つことができない。

「、あれ…」
「なんだ、立てないのか?」
「腰抜けたみたい」
「仕方ないやつだ…深呼吸して掴まれ」

すっと伸ばされた手を掴んで二、三度深呼吸するとようやくルークは立つことが出来た。

「なんでそんなに急いでたんだ?」
「さっき、公園で…///」

そこまでいいかけてルークは口をつぐむ。
不審に思ってアッシュが弟を見ると顔が街灯に照らされて仄かに赤くなっていた。

「家に帰ってから聞いてやる」
「うん…」

家に着くまでルークの手は何度もアッシュの指を掴み直していた。









「で、どうしたんだ」
「ん、と…その」

ご飯を食べ、入浴が終わってもなんだか、熱がひかずルークは本当に自分が病気なのかもしれないと思い始めた。
兄の部屋の床にペタンと座り言い難そうに、下を向く。

「ほら、俺に言ってみろ」

そういうと小さい時から、してきたように左膝にルークを乗せる。
おとなしく座った弟の口元に耳を近づけると二人しかいないのにルークはこしょこしょ話で兄に打ち明けた。

「…それでか」
「う、うん…で、なんかさっきから体がずっと熱出てるみたいで…アシュ兄、俺 病気?」

まさか中学生にもなって知らないのだろうか。

(てっきりルク辺りが教えてると思ってたがな…)

この分だと、子供だってコウノトリが運んできてくれると真剣に弟は言い出しそうだ。

「ルーク、真剣にきく…子供はどうやって授かるか知ってるか?」

アッシュの問いにルークは憤慨したように眉を寄せる。

「馬鹿にしないでよ!!
お父さんが耕した畑にキャベツの種撒いて、お母さんが水やると子供が出来るんでしょ!!」
「…重症だな、冬生まれはどうするんだ、冬生まれは」
「え、アシュ兄のこと?
んー、ハウスじゃないかな?」

なんの疑問も持たずにそんなことを言ってのける弟の頭には、「性行為」とか「自慰」とかそういったものは無いに等しいんだろう。

「ルーク、お前、保健体育の授業受けたのか?」
「う、受けたよ!!
ただ、みんながルークは耳栓とアイマスクしててって言うから寝ちゃったけど…」

アッシュはあまりのことに目を覆う。
このままだと、なんの知識もないルークが性格の悪い女に騙されては大変なことになる。

「教えてやる」
「え」
「だから、そいつらが公園でしてたことだよ」
「なに?」
「いいか、それはセックスだ」

聞きなれない単語にルークは首を傾げる。

「子供を作る行為だ」
「ふぇっ!?だってキャベツ畑」
「嘘に決まってるだろうが!」

ルークをベットに寝せるとアッシュは組敷く。

「アシュ、兄」
「さっきから体が熱持ってるのはそいつらに当てられたからだ、証拠、お前のここ勃ってる」
「やぁっ、そんなとこっ」

強めに撫でてやるとルークはピクンっと体を跳ねさせた。

「ルーク、ここがこんなになったらどうしてたんだ」
「ほっておいたら、治ったからそのままだよ」

一体どこから教えていいのかアッシュは確かな頭痛を感じた。

「いいか、ルーク…今度こうなったら自分の手でヌケ」
「ぬく?」
「自慰行為というんだ、男には大切なことだ」

パジャマのズボンと下着を脱がすと露になるルーク自身をそっと包む。

「んゃっ!」
「目を瞑るな、見てろ」
「む、りだよぉ」

くちゃくちゃと濡れた音が響き初めて恥ずかしさにルークは身をよじる。

「当たり前だ、本来自慰は一人でやることだからな」
「はぅっ!ひっ!!それっやあぁっ」

ぐりっとアッシュの指が強く先端の窪みをいじる。

「あんっあぁっ!」
「ほら、自分でいじってみろ」
「やだっやっ!」

無理矢理、ルークの両手を掴むと自身に這わせる。

「は、ぅ、うぅ…」

泣きながら、手を動かすがアッシュがしてくれたような強烈な痺れがまったくと言っていいほどない。

「にいちゃ、わかんなっ!」
「ほら、さっき俺にいじられて気持よかったところ撫でろ」
「きもち、ぃ?」

あの痺れみたいなのを気持いいと言うのだろうかとルークは先端の方を親指と人指し指で擦る。

「ア、んんっ」

はぁはぁっと荒っぽい呼吸をしながらルークは、アッシュを見つめる。
幾分、先程よりマシだが決定的な何かが足りないと体は感じていた。

「…はぁ、ほら…」
「ひぁぅっ!!」

ルークの手の上からアッシュが手伝ってやるように動かすと、望みのものを手に入れたのか、声を上げて夢中になる。

「あっやぁっ!なんか、へんっへん!!」
「ルーク、それはイクっていうんだ」
「い、く?…んやぁっ!俺、いっちゃ」
「ああ、そうだ、そのまま出せっ」
「ふっアアァッ!!」

ビュクビュクと真っ白なドロッとした濃いものがルークの腹を汚した。

「あ、ん、はぁっはぁ…」
「見ろ、ルーク」
「ん…?」
「これが、精液、赤ちゃんの元だ」
「…せ、えき、あかちゃ?」
「そうだ、この精液に含まれる精子が…女性の卵子に結び付いて受精卵になると子供ができる」

わかったかというとルークは素直にこくんと頷いた。

「じゃ、じゃあ…子供、作る時いがいそれはしないんだ、よね?」
「人間は…子孫を残す以外にも愛を深める為にしたりする」
「そ、なんだ…」

ルークの目に浮かんでいた生理的な涙が唾液とともにシーツに落ちる。

「あしゅ、にぃ」
「なんだ」
「ルークにセックス教えて」

あまりの発言に流石のアッシュも吹き出してしまう。

「だめ?」
「本来なら男女がする行為だぞ」
「本来ならってことは出来ないこともないんだよね?」
「お前、大胆なやつだな」
「だって、気になる…」
「…いいか、セックスは安易に他のやつとはするな…」
「わかった」

アッシュは上着を脱ぐとルークの頭を撫でてキスを深い深いキスをした。









キスをするのも初めて、セックスというものはさっき知ったばかり、それなのにこれほど従順なルークの体にアッシュは溜め息をつく。

(先天性の淫乱か?)

ほんの少し前は、胸や脇腹を撫でれば擽ったいと笑っていたルークがトロンとした目付きで、どこを撫でても女のような声を上げた。

「ふ、はぁっ、あぁ!」
「四ん這いになって尻をあげろ、ルーク」
「ん、こ、こぅ?」
「そう、いいこだな…そのままだぞ」

濡れた指でルークの蕾を割ると、ゆっくりアッシュはそこに舌を潜らせる。

「あぁっ!きたなっ!にいちゃ、汚いよっ!!」
「俺に教えろと言ったのはお前だルーク」
「はんんっ!だって…」
「いいから感じてろ」

侵入してきた異物を拒もうとルークの内壁が動くが、アッシュはそれをもろともせずそこをならしていく。
左手でルーク自身を撫でながらの行為に、アナルをいじられているルークは気持いいのか気持悪いのか分からなくなる。

「はんんっ、に、ぃちゃぁ」
「んー?」
「きもち、ぃ…」
「、そうか、もっと気持よくしてやる」

二本指を内側からぐっと曲げるとアッシュは前立腺をぐりっと刺激した。

「ひっいやああぁっ!!」

強い電流が走ったかのようにルークの体はしなる。

「これが前立腺…男なら誰でもある、気持いいか?」
「うん、うん!きもち、ぃ」
ぐりぐりと指が動くたびルークは身を揺らして鳴いた。

「にぃちゃ、にぃ、アシュにぃっ、と、ぉくぅ…」

奥がだんだんとむずがゆくなってきて指を誘いこもうとルークが動く。

「っ、のぉ…淫乱っ」
「えっ、な、ひあああぁ!痛っいぃ!」

痛いと言いつつもルークの雄からは精液が溢れシーツをさらに汚す。
無理矢理押し入ったが、内壁は切れないでアッシュを受け止めていた。

「ふ、はァー…はぁー…」
「ルーク、」
「ァ、っく」
「痛いか?」
「わかんなっふあぅっ!」

体が痙攣おこし、ぴくん、ぴくん、と無意識にうちももが震える。

「ん、ぁ、っごいて、アシュにぃ…も、お腹、いっぱぃくるしー…」
「あぁ、今、中擦ってやる」
「アッアッ!あぁっ」

パチン、パチンと肌のぶつかる音がリアルさに全身が震え無意識に口からは「きもちいい」と感想が溢れる。

「ぅあぁっ!出ちゃ、出ちゃうよぉっ」
「出るでも、そそるけどな…っ、なんて言うんだルークっ!」
「ひあぅっあっ!イクっ、んあっ!おれっおれぇ、あしゅにっイッ、ちゃ」
「ほら、イケよ!」
「アッアッ!ひっぃやああぁっ!!」

今日、何度目かの絶頂にルークは気絶するようにベッドに倒れこんだ。








「ん、んぅ」
「起きたか…」
「あぁぁ、アシュ兄っ」
「悪い、大丈夫かルーク」

兄の大きなベットで寝せられているルークに昨日の痕跡はない。
きっとアッシュが綺麗にしてくれたのだろう。

「うん、だってしたいって言ったの俺だもん」
「ルーク」
「アシュ、にぃ…大好き」
「あぁ、俺もだ」

もう、二人にはイケナイ事だとか、頭の隅にこれっぽっちもなかった。


END









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