4月9日




「あ、着信!!!」
「ルークからだな」
「もしもしー、お兄ちゃん!いい加減どこにいるのー!!」

ルカが電話に向かって、言うとルークは楽しそうに、「今から言うところに来て」と場所だけ言うと通話を切ってしまった。

「なん、だろ?」
「まぁ、いいじゃん 行ってみようぜ」

久しぶりにルークに会えることにみんなウキウキしながら、家を出た。








「みんなーこっち!こっち!」

ぶんぶんと手を振るルークに駆け寄って行く。

「ルーク!一体今までどこにっ」
「まぁまぁ、アッシュ 落ち着けって」
「ガイ、いたのか」
「まぁ、ルークの横にずっと」

ホントに眼中にないなとガイは苦笑した。

「みんな、俺がいないのによく頑張ったね ご褒美だよ」

満開の桜の木の近くに並べられた料理と飲み物。

「お花見、今年はまだだったから」
「へー、立派な木だな…でもなんでこんなに満開なのに人がいないんだ、ルー兄?」
「それはな、ルク…ここが、ファブレ家の土地だからだ」

代わりに答えたのは姉。
固まる、アッシュ、アシュリア、ルーク以外の三人。

「海といい、ここといい、うちって一体何なんだ…」
「だってここって、散歩道とかアスレチックになってなかった?」
「ファブレ家で開放してるところだ、アスレチックの経営は父上のところでしている」
「イベントなんかもここでしてるよね」
「そうだね、父上はみんなの為にこの場所を貸してるんだよ」

にこにこ笑って各々の質問答えると状況が飲み込めたのかルクたちの開いていた口が塞がる。

「ここは開放してないところ、だから綺麗にはしてあるけど人はいないんだ、さぁ、座って」

ルークが促すと皆、ビニールシートに座る。

「いーい、今度お花見するときは桜の木の真下じゃなくて枝が伸びた外側に座るんだよ、根が痛んじゃうからね」
「お兄ちゃん、食べていい?」
「うん、いいよ、きちんといただきますしてね」

そういうと、いただきますをしてルーもルカも料理に箸をつけた。

「おいしい?」
「うん!すごくおいしいよ!」
「よかった、おねえちゃんは?」
「ああ、美味しいぞ」

みんなの反応にルークはニコニコ笑ってアッシュにお酌する。

「はい、アシュ兄、ガイ」
「ったく…大変だったんだからな」
「ごめんね、」
「覚悟しておけ」

ほんのりと同じようにアッシュも笑みを浮かべた。

「ルク」
「ん?」
「ありがと」
「別に…、雑誌の受け売りもいいけどもういなくならないでくれよ」
「うん!」








ルークがいない数日間。
悪夢の様な日々はこうして水に流され、過ぎていくのでした。


拝啓母上様
うちの子はみんなやれば出来る子なので一安心しました。
後、来年もみんなでお花見しようと思います。



END







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