1月4日
「ただいまー!!」
「ああ!帰ってきた!裏切り者!」
「ちょっとルー、その言い方止めてよね!おみやげいらないの?」
「いる!いるー!!ルカちゃーん!!」
ただいまと言うなりバタバタと家の中を走り出した妹たちにルークはクスリと笑う。
「おかえりなさい、アシュ兄」
「ただいま」
「お疲れ様」
「本当にな…」
妹の買い物にでも引き回されたのだろう、疲労の色が隠せない。
「ルーク」
「おぶっ、!」
「補給」
なんの?とルークは思いつつされるがままだ。
「あー!!アシュ兄がルー兄独り占めしてる!!ルク兄ちゃーーん!!!」
「あん?、よぉ、ルク子おかえり」
「ただいま、ルク兄」
「それよりルク兄ちゃ、アシュ兄が独り占めなの」
袖をくいくいと引っ張ってルーが指をさす。
「おーおー、好きにさせてやれよ、ルー…アシュ兄はもう年で涙もろいんだ…久しぶりにルー兄に会って感動しちまってんだよ…だから、ほっといてやろうぜぇ…仮にも次期家長が寂しくて弟に抱きついたなんて言えないだろう?」
「ルク、大人になったな」
本当に関心したようにアシュリアが頷いた。
「だろー、アシュ姉 新年の俺は一味違うぜ?」
「今の兄上の表情はそうだな…さしずめ、干し柿だな」
「アシュ姉ちゃん、それってつまり若い時と違ってしなしなしてるってこと?」
きゃっきゃと笑いながら盛り上がる妹、弟にアッシュは青筋を浮かべて口の端をつり上げる。
「ったく黙って聞いてりゃぁ好きかって言いやがってお前ら!一人ずつ覚悟しろ!!」
鬼ごっこバトル会場と変わったファブレ家、楽しそうな五人を見ながらルークは、「一緒っていいなぁ」と呟きながらお茶を飲んでいましたとさ。
それは1月4日の出来事。
END
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