1月2日






懸命にシャッターをきる妹は何かに一生懸命で、羨ましく感じた。

「おねえぇちゃあぁん!」
「ん?」
「一枚撮らせて!」
「へ、?」
「緊張しないでね、撮ってるのはお姉ちゃんの大好きなルーだよー!」

ああ、本当になんて可愛い妹。
クスリとアシュリアが笑った瞬間、ルーはシャッターをきる。

「お姉ちゃん、もう一枚」
「こら、止めろ」

笑っている時にあまり撮るなと、アシュリアはカメラ越しの妹をたしなめる。

「お姉ちゃん、もうすぐ卒業だねぇ」
「ん、そうだな…」
「?」

急に笑うのを止めて、アシュリアがうつむいたのをルーは見逃さない。
カメラを下ろすと、妹は姉の視線に入ろうと下から見上げた。

「ずっと、兄を追い掛けてきたせいだな…この先どうしたらいいか分からないんだ」

兄のようになれないと知りつつも、同じ道を辿ろう、辿りたい、という自分に不安を感じる。
兄には決してなれないのに。

「…でもお姉ちゃん、お兄ちゃんと同じ学部でしょ?」
「結局、何がしたいか分からないままでな」
「じゃぁ、ルーのモデルでもやる?」
「ぶっちょう面のモデルでいいのか?」
「お姉ちゃんなら構わないよ」

ふふと、ルーは笑う。

「考えておく」
「お姉ちゃんはきっとお兄ちゃんの側にいたいの」
「は?」
(すごい嫌な顔なの…)

顔をしかめている姉の額を撫でてルーは続ける。

「きっとママみたいに、パパの秘書さんになりたいの」
「!!」
「ねぇ?だからやりたいことがないわけじゃないよー、頑張ってね」
「ルー、ありがとう」
「んん、お姉ちゃんとお兄ちゃんがモデルならいい写真になりそうだね」

仄かにピンクになったアシュリアの頬を撫でるとルーはもう一度カメラを構えた。


それは1月2日の出来事。



END








―――――――――
乙女お姉ちゃん再来。





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