12月30日




「えぇ!?」
「そう、みたい」
「ルカちゃん、お兄ちゃんと一緒に行っちゃったの?」
「さっき、連絡きてさ」

ルクに聞かされてルクーは絶句する。

「おいてかれた!」

「ルカちゃんの裏切り者ー!」と叫ぶルーは本当に怒っているのか、関係のないルクに拳をとばす。

「痛ぇって!」
「ふえぇっ!!」
「ったく、もう高校生だろ!!!」
「、ルーが子供みたいな言い方しないで!自分だってルー兄から離れないくせに!」
「んなっ!!」

喧嘩を始めた二人に流石にルークが止めに入る。

「はいはい、喧嘩しないの…ルク」
「、悪かったよ」

「なんで俺が謝らなくちゃいけないんだ」と小声で呟くのが後で聞こえたがルークは聞こえないふりをした。

「ルー、アシュ姉と一緒に」
「一人でも、平気です!」

ツンっとした態度でルーは、バスルームに向かって歩いていった。









「何よ、ルク兄ちゃんの馬鹿!」

枕をぼふぼふ叩きながら、ヌイグルミをベットいっぱいに並べていく。
普段なら、ルカがそこにいるのでお気に入りのヌイグルミはソファの上なのだが、大小、それぞれをすべてをベットの中や外に並べ終えた。

「そんでもってルカちゃんの馬鹿」

隣を手で探ってもいつもある、あったかい体がなくてルーは縮こまる。

「寒い、さむいぃ」

お姉ちゃんのとこに行こうかと思うが、馬鹿にされた手前、意地が邪魔して行けるわけがない。
それこそ、朝、アシュリアの部屋から出て来ようものならルクに馬鹿にされるに決まってる。

「うぅっ―…」

深夜一時半。
まったく眠気はこない。

「うっ、ひっく、るかちゃんのばかぁ」

いない相手に文句を言い続けていると、部屋の扉があく。

「ルー」
「ひっ、ふ、ねぇちゃ…」
「仕方ないな」
「だってぇ、にいっちゃが」
「よしよし、まったく意地張って」

ぐしょぐしょの顔をティッシュで拭うとアシュリアは唇を最愛の妹に落とす。

「ぅ、ふ…」
「よくまぁ、壁を作ったな」

城壁のようになっているヌイグルミを避け、自分の寝るスペースを確保するとルーを抱き、寝転ぶ。

「姉ちゃ、あったかいの」
「そうか、じゃあお休み」
「うん、お休み、なさいなの」

暖かい姉。
霞む意識の中でほんのり、甘い香りがした。








それは、12月30日の出来事。





END









―――――――――
30日ってより、29日から30日にかけてが正しい(笑)


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