休息?
「な、ルー兄」
「何、ルク」
皿を拭きながらルー兄は返事をする。
「今日一日、俺に付き合えよ」
「「「「えっ!」」」」
声をあげたのは、ルー兄でなく他の四人の兄弟達。
「抜け駆けとはいい度胸してんじゃねぇか…」
「ふん…」
「ずるいよー、ルク兄!」
「ルー兄…」
ちなみに、アシュ兄、アシュ姉、ルー、ルカだ。
「いいだろ、別に…ルー兄イヤか?」
「ううん、ちょうど買い物に行きたいから、行こう、ルク」
「じゃあ、先、準備してるぜ」
兄弟達の視線が痛いような気もするが無視。
「ルー、ちょっとこい」
「なに、アシュ姉…」
「服、コーディネートしてやる」
ルーの手首を掴んでアシュリアは部屋に入っていった。
「ルー兄?」
「っ…///」
「ほら、行ってこい」
姉に背を押されてルーはよろめきながらルクの前にでる。
「ぁ、…ぅ」
アシュリアの事だからもしや女装と思いきや、体にフィットした肩が見える長袖に黒のパンツ姿のルー。
「似合うじゃん、ルー兄」
「こんな格好したことない…」
真っ赤になって俯く。
「大丈夫、似合ってるぞ」
「アシュ姉…んっ///」
キスされてさらに赤くなる次男。
「ルク、ちょっと」
二人で何かやりとりをしていたがルーはあまり気にしなかった。
「ルク、手…」
「いいじゃん、誰も気にしねーよ」
今更ながらルクの格好は黒のランニングに、鋲の打ってあるジーパン、それから、シルバーのアクセサリー。
「みんな見てるよ」
「気のせいだって…」
ルクに押されて、一人だと行かない店や、CDショップを二人で見て回った。
「ルー兄、なに飲む?」
「紅茶系がいいな」
「じゃあ、レモンティー二つでいいか」
一人席に座っていると、女子の二人組が恥ずかしそうに近づいてきて。
「?」
「あの暇だったら私たちと遊びませんか?」
「え?」
突然のことで、ルーはかなり戸惑う。
「ごめんなー、こいつ女の子に慣れてねぇんだ、君たちみたいな可愛い女の子に声かけられて嬉しいんだけど…俺等用事あるからさぁ」
しゅんとルクが落ち込んだように断ると顔を真っ赤にさせて女の子達は盛り上がってルクを囲む。
「…」
黙ってその様子を眺めながら紅茶を啜ってると肩を叩かれる。
「ね、もしかして一人?」
「はぁ?」
声をかけてきたのは正真正銘男だ。
「あ、あの…」
「いいじゃん、遊ぼーぜ」
「いや、俺は…」
ぐいっと手首を掴まれる。
「ゃ、やめ…」
「ルーっ!」
鈍い音が響いたと思ったら倒れる男。
「ルク…」
「大丈夫か、逃げるぜ」
「ぅ、うん」
女の子達はきゃーきゃーと追い掛けてきて、殴られた男も一矢報いようと追い掛けてくる。
「頑張ってついてこいよ」
手を引っ張って走る、ルクの赤毛が風になびいて綺麗だなーなんて考えてた。
「はぁっ、は…」
「平気、ルー兄?」
「ぅ、うん///」
赤くなる、兄。
まぁ、周りが周りだからな。
ピンクのネオン、自然といかがわしい場所だと分かる。
「寄ってく、ルー兄」
「ぇ、ルク?」
無理矢理ルー兄の手首を掴んで、近くのホテルに入る。
訳分かんねぇって顔してるのをほっといて手続き済ませて部屋に向かう。
「今日泊まる」
「は…?」
「いいから」
素早かったと自分でも思う。
戸惑う、ルー兄をさっさと押し倒して。
「ルクっ、ぁ」
「今、目の前にいるのは俺だ、俺だけ見て俺のことだけ考えろよ」
「…ルク」
「家のことも、なにも考えるな」
「…っ」
それだけ言うと顔真っ赤にしたルー兄が俺の首に腕を回した。
今思えば他の奴らに邪魔されねーでルー兄抱いたの初めてだったかも。
「…悪い」
「…なんで謝るんだよ」
ふっと笑った同じ顔。
「いや、なんか」
これじゃあ、家にいるときと変わんねぇし。
「楽しかったよ、久しぶりに家事から解放されて」
「だ、誰も楽しかったかなんて聞いてねぇよ、こんな状況になったのも成り行きだしな」
いつも口数は少ないのに、焦ったり照れたりすると早口で話しだすのはルクの癖だ。
「じゃあ、そういう事にしておく」
「…なんだよそれ…」
なんだか二人で可笑しくなってくすくすとベットの中で笑っていた。
END
おまけ
その頃ファブレ家では―
ルカ「ルク美っお米洗剤で洗っちゃダメだって」
ルー「えーだって白いのとれないし、いいじゃん」
アッシュ「あいつら何してんだ」
アシュリア「料理してるぞ…」
アッシュ「お前はなんで一人食い終わってるんだ?」
アシュリア「自分の事は自分で…殺人料理の餌食になりたくないからな」
アッシュ「てめぇ、一人だけ逃げやがったなっ」
アシュリア「さぁな…(黒笑)」
アシュリア一人抜け。
アッシュ犠牲決定。
今度こそ終わり!
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