長男のハッピーハロウィン





「るぅぅううくうぅぅうう!!」
「あわわわ!ピオニーさん」

がばちょっ!
となんだか妙な効果音がついて用務員(本当は高等部校長兼大学部教師)のピオニーがルークに抱きつく。

「ピオニーさん、なんで大学部の方にいるんですか?」
「用務員さんはお仕事忙しいのさ、ルーク…」

そんな嘘にもルークは関心したように、「大変ですね」とピオニーを労う。

「時にルーク」
「はい」
「ハロウィンを知ってるか?」
「…お菓子をくれないと悪戯するよってやつですよね」
「知ってるなら話は早い…トリックオアトリート」
「ふぇ?俺、いま何も持ってないのに」

困ったようにポケットを探るが飴玉の一つも見当たらない。

「じゃあ、悪戯かな?」
「、っ」

そろりと首筋を撫でると恥ずかしそうにルークはうつ向く。

「ゃ、ピオ、ニーさん」
「うんうん、可愛いなルークは」
「んっっ」

だんだん怪しい雰囲気になってきたピオニーたちの背後に、青筋をたてた長男が近づく。

「おい、た・だ・の変態用務員」
「うっ」
「あ、アシュ兄っ」
「ルーク…いいっていうまであっち向いてろ」
「う、はい」

おとなしく向こうを見たルークを確認すると、指をバキボキと勢いよくアッシュは鳴らす。

「ピオニーさん、トリックオアトリート?」
「ちょ、アッシュ!それは悪戯じゃなくて、暴りょ「嫌ですねぇ、可愛い生徒のちょっとした戯れですよ」

顔は爽やかに白いまま、ブラックなアッシュがつかつかと近寄った。

「教育的指導(というなの仕置)の時間だ」
「ぎっぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

大学敷地内に悲鳴が響き渡った。

「さ、ルーク…行くぞ」
「あ、アシュ兄?」
「お前はなにも気にしなくていい、これ以上見るな汚れるから」
「ぅ、うん…」

チラリとルークが見れば何とも言い難い姿でピオニーが転がっていた。

「くそ、アイツ強くなってねぇーか?」
「馬鹿ですねぇ、ピオニー 子供は成長するものですよ」

いつのまにか現れたジェイドが足先でピオニーを蹴る。

「空手、合気道、柔道…すごいですねぇ、アッシュ」
「あいつ、あの時のことまだ根に持ってたのか」
「伝えておきましょうか?」
「止めてくれ、死ぬ」


アッシュがにっくき、ピオニーに勝った素晴らしきハロウィンの一頁。




END






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