おれとるーく




「にぃに…」
「あー、よしよし」

どうやら、次男は三男と喧嘩をしたらしい、珍しいことだ。

「ふっ、ぇっ」
「泣くな、ルーク」
「にぃには、るーのことや?」

突拍子もないことを言い出したルークの思考に俺は一瞬ついていけなかった。

「どうしてそんなことをいうんだ?」
「るくちゃ、かみきったらるーのことやってゆったも…」

つまり、ルクは自分と同じだったのにルークが髪を切ってしまったことが気に入らなかったのだろう。

(あれだけ、母上がお揃いにさせてたらそうもなるか…)
「にぃに?」
「大丈夫、ルーク…ルクはびっくりしただけだ…そうだな…父上がいっつもニコニコしてたらルークはびっくりするだろ?」
「する…」
「それと一緒なんだ」

そうして諭すとニパっと笑顔を見せてルークは抱きついてきた。

「るくちゃは、るーのことやじゃない、にぃにもやじゃない?」
「あぁ」

むしろ、ぴょこぴょこ歩く度に弾む髪の毛が愛らしく、幼く庇護欲がそそられる。

「俺はルークのことが大好きだ」
「にぃにー!」

ぐりぐりと頭を寄せてくるルークをそっと撫でて少しだけ頬を緩めた。


その俺たちの様子を見ていた三男がひったくるようにルークを連れ去ったのはいうまでもない。






END














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