次男と長女





連休半ば、人通りの多さにアシュリアは疲れを覚える。
ルークとの買い物は楽しかったし、言うことはない。


どんっ



「すまない…」
「アシュ姉、手」
「ルー…」
「並んで歩けば少しは避けて歩いてくれるよ」

「もう少ししたら休もう」とルーク。
なんだかいつのまにか大きくなった弟にアシュリアは気付かれないように頬笑む。

「ここで座ってて」
「あぁ」

走り去る背を見てデパートで迷子になった時を思い出す。


『ルー、泣くな』
『うぇっふ…く、姉ちゃ』


「何笑ってるの、アシュ姉」
「ん?デパート迷子事件思い出してな」
「なぁ、まだ覚えてたのっ」

楽しそうにアシュリアが頷く。

「本当に頼れるようになったな、ルー」
「…まだまだ、アシュ姉の方が頼りになるよ」

ルークはにこりと笑ってカプチーノを姉に渡した。

「そんな事ないさ、手だっていつのまにかお前の方が大きい」

握られていた手をそっと弟の手と合わせる。

「アシュ姉…」
「そろそろ行こう…もう平気だ」
「うんっ」








『こ、こんどはっねぇちゃんにたよられるようにすりゅっ』


ぐしぐしと袖で涙を拭くルーはそう言ったのだ、指きり付きで。

(格好良くなった…)

誇らしく思う反面、追い越される切なさも感じ、アシュリアはルークの腕に自分の腕を絡めた。


いつのまにか、弟の肩は自分の額の位置。




END


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