三男と次女
「ルク兄っ」
「お前どこ行きてぇんだ?」
「え?」
「お前が行きたいとこに合わせるって言ってんだよ」
少々ぶっきらぼうだが、ルクなりの優しさだ。
「喫茶店行きたいの」
「あぁ、いいぜ」
あまりのキラキラ笑顔にいやな予感がしつつも引っ張られていった。
「ルク兄、嫌?」
あぁ、嫌だという言葉は飲み込んでルカを先にすると店に入った。
(うっ…)
「いらっしゃいませ、二名様ですね、こちらになります」
案内されて窓際の席。
「ただ今当店ではカップル限定オータムメニューがありますどうぞ御覧ください」
にっこりと店員はメニューをおいていった。
「ぅぁー///」
「食べるか、それ?」
「え、だって」
「馬鹿、見えなかったら一々説明するわけねぇだろ」
店員を呼ぶと「ご注文お決まりですか?」と話し掛けてきた。
「コーヒーとパフェ一つですね、畏まりました少々お待ちください」
キャップをとるとルカは耳まで真っ赤にして。
「ほら、バレなかったろ?」
「うん、ありがとルクっ」
「しっ…名前で呼ばねぇと兄妹ってバレちまうぜ?」
少し意地悪く言うとおもしろいほど目が泳いだ。
「コーヒーとパフェになります、ごゆっくり」
店員が持ってきたのは特大サイズのパフェ。
見てるだけで胸焼けがする。
「ぁんっ、ん〜」
それでも妹のこの顔。
「いっぱい食って太れよ」
「何それっ」
「お前は少し細い」
「ぁむ、」
「クリーム付いてる」
手慣れた様子でルクはペロリ。
「ル、ファーク…///」
「何だい、ハニー?」
「なぁっ!ぇいっっ!!」
「むぐぅっっ!!」
アイス少量に生クリーム十倍。
「おぇっ…」
ブラックを一気飲み。
「ルカ〜」
「仕返しですー」
とりあえず、妹の嬉しそうな顔が見れたのでよしとする。
END
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