三男の場合




「アシュ姉、起きてる?」

部屋に入って、中腰になって優しく姉を揺り動かすと唸りもせずにパチッと目を開けた。

「おはよ、アシュ姉」
「そこに座れ、ルファーク」

床を指して、眠そうな姉。

(ヤバイ、寝惚けてる)

本能が、逆らうのは危険だと告げていた。

「…」
「よし、次、お姉様と呼べ」
「…は?」
「何だ、聞こえなかったか?
…お姉様と呼べ」
「アシュリア、お姉様?」

お姉様っつーより、姐ごっぽいとルクは思う。

(ど、ドスとか持ってねぇだろうな)

大方、寝惚けているんだろうが。

(俺、実の弟だぜ?)

朝から正座で、何が楽しくてフローリングの床に座らなければならないのか。

「ほら」

差し出されたのは姉の白い足。

「?」
「口付けろ」
「はあぁ!!?」
「主人の言うことが聞けないのか、下僕」

だから、実の弟
下僕扱いかよ!!!!!


新手のSMプレイかとルクは小さく息を吐いた。




今は姉の言うことを聞き、
食卓へと連れていくことが先決である。


「…っ」

ちゅっと甲に口付けると満足そうに微笑んで、姉は首に腕を回してきた。

「下僕、連れてけ」
「かしこまりました」

恭しく、体を抱き上げ一階へと降りた。










ただ降りた後も、お姉様こと
女王陛下の大暴走が続いたのはまた別の話。



END



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