長男の場合






「アシュ兄、アシュ姉の事、起こしてきて」
「あぁ?他のやつに頼め」
「新聞なんて後で読めるだろ、みんなご飯の準備してんの」

起こしてこい、オーラを他の弟妹からも出され、渋々アッシュは立ち上がった。

「ちっ、めんどくせぇ…」

ノックをしてから扉を開ければ案の定、タオルケットや毛布にくるまる妹。

「おい、起きろ」
「…」

揺すっても、アシュリアは起きない。
しかし、起こして連れていかなければまた、ルークたちにどやされる。

「おら、起きろっアシュっ」

ついに、手でなく足蹴で揺すった。

「…っ」
「やっと、起きたか…」
「…人を足蹴で起こすとはいい度胸じゃねぇか」

※アシュリア姉様は低血圧です。

阿修羅の如く、鬼神の如く。
その時の動きは既に達人を越え、神の領域。











「◎☆■△*¥◇●!!!!!!!!!」






「なっ何!?」

言葉では表現できない絶叫が家の中に響きわたる。


バンっ!!


「アシュ兄―ッッ!!!?」
「…」
「…」
「…」
「〜っ…」

目の前の光景にルークたちは絶句する。
前屈みになって顔面蒼白で悶えてる、兄。

「お姉ちゃん、ジャブするの止めて」

シュッシュッと音をたてて拳を振ってる姉にルーは抱きついた。

「アシュ兄…大丈夫?」

さすがの兄にも急所は駄目だろうとルークもルクも同情する。

「…ルーが…舐めるか、撫でてくれたら…治る」
「はいはい、舐めるのね…って、アシュ兄のドアホ!!!!!!」

こんな時にも変態を忘れない兄にルークはもう唖然。

「アシュ兄最低…セクハラ最悪、心配して損した、行こうぜ、ルー兄」

くすんくすんと泣くルークを連れてスタスタとルクは一階へと降りていく。

「お兄ちゃん、最低なの…」
「お姉ちゃん、新しいサンドバックだよ」


にっこり笑って言い放ったルーにアシュリアもにっこりと微笑んで華麗なる足を振り上げた。








泣き止んだルークがボロボロになったアッシュを保護したのはそれから三十分後の事。




END





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