三男と二男
俺は今奮闘中。
何にって?
弟の攻撃の防衛に。
「ルク、ヤメロ…よ」
「トリックオアトリート」
その日になった瞬間に乗っかって来やがって。
「発音がなってねーぞ」
「へぇ、ルー兄よっぽど悪戯されたいみてぇだな」
ファブレ家の負けず嫌いは遺伝だ。
「ちょ、ん…っ」
「ルー兄、トリックオアトリート」
「俺、お菓子なんて今持ってないっつーのッ」
「じゃあ、菓子より甘いお前をくれる?」
「何言ってんだよ///」
口説きモードのルクはかなり厄介だ。
「じゃあ、やっぱり悪戯?」
にやりと笑う。
「うっ…」
どのみち、されてしまうのだ。
弟の笑みがそう言ってる。
それなら、いっそ優しくされる方を選ぶ…てか弟に襲われてる俺って…。
「…頼むから、優しくしろよ」
じゃないと、朝キッチンに立てないから。
「了解」
「…」
「それじゃあ、世界一甘いマシュマロから戴きます」
「お前、甘いの苦手じゃなかったっけ?」
「ルー兄は別」
キス一つで沈んでいく俺の意識。
どんどん長男に似ていく三男に軽く眩暈を覚えた。
END
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