海へ行くその5
「ふー…」
「アシュ兄、眠くない?」
「あぁ平気だ、お前も寝ていいぞ」
帰りの車内。
後ろで寝ている面々の顔に嬉しそうにしている兄。
「うん、でもアシュ兄運転してるし、なるべく起きてる」
「そうか」
とろんとした目をしながら言うルークに苦笑しながら左手で頭を撫でた。
(だめ、起きてなきゃ…)
心地いい疲労感に、車の優しい揺れが眠気を誘う。
(起きてる―…)
家についてもルークの起きる気配はない。
「ルー兄よく寝てるねぇ」
「アシュリア綿毛布」
「ほら、兄上」
ルークの体を綿毛布に包んで持ち上げて二階に運ぶアッシュ。
「このまま今日は寝せてやれ…晩飯は自分らでなんとかするしかないな」
「アシュ兄、その必要無いみてーだぜ」
先に荷物を持って家にいたルク也が言った。
「用意周到…さすがと言うべきか?」
「ルー兄ってすごい」
準備されていたのは、おにぎりとサンドイッチ、それからスープにサラダ…後は温めて食べるだけだった。
「昼飯の他に夜まで作ってたのか…」
レンジで温めているルカたちを尻目にもう一度、二階に行き、タオルケットからはみ出したルークの手足をそっとしまってやった。
「いつも、ありがとう」
BYファブレ家一同
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