X'mas coming soon




「みんな、何してんの」
「サンタさんにほしいものかいてるの!」

短冊にして吊すのは七夕だろというのは黙っておく。

「ふーん」

なんか、アシュ兄もアシュ姉も楽しそうに短冊に書いてるんだけど、だから七夕だってば。

「ルクちゃんも書いてッ」

ルー兄が紙とペンを差し出してくる。

「俺は、いい…ほしいものないし」

部屋の空気が変わる。
あーあ、ルカなんて泣きそうな顔してるし。

「ぁ、そういやかりてきた本読むのわすれてた」

わざとらしいなと思う。
でもこんな空気の治し方なんて知らないや。

「ルクちゃん…」

ルー兄が名前を呼んだけど聞こえないふりをした。







だって去年のクリスマスに見ちゃったから。
俺のところにプレゼントを持ってきたのは間違いなく父親だ。

(きっと俺だけにサンタさんはこなかったんだ…)

去年は窓ガラスを割ったしいい子だった記憶がないし。
今年は今年でクラスの奴と取っ組み合って喧嘩したし。



いい子じゃないとサンタはこないから。



「ルクちゃん、はい」
「ルー兄、俺のいったことちゃんと聞いた」
「みんな書いたんだよ、ルクちゃんも書こう」

ルークは変なところで頑固だ。
なんだか、そのしつこさがたまにイラっとする。

「だから、俺にはサンタはこないって」
「何で?」
「何でってサンタはいい子のとこにしかこないって父上から聞いたろ!!」

ついつい、どんっと兄の体を突き飛ばしてしまう。








「るー、きいた?」
「きいたよ…にいちゃだけサンタさんこないの」


そんなのダメと双子の妹たち。
急いで階段を駆け下りた。



「ぁ、ルー兄…」

ルクが手を伸ばすとガチャーン!!という大きな音が下からして。

「ルクちゃん、下、いこう!」

あまりの大きな音に二人はさっきまでの事を忘れて、リビングへとむかう。



「こら、何でこんなことしたんだ?」

二人が見たのは倒れたクリスマスツリーと兄と姉に怒られている妹たちだった。

「だって」
「るくにいちゃにはサンタさんがこないの」

ぎゅっと二人で手を握って。

「みんなにこなきゃ、やーなのぉっっ」
「ふぇ、るーもわるいこになるぅー!!!」

「やーなのぉー!!」と泣きだした妹たちにアッシュとアシュリアは目配せをして。
「「事情も知らないでお前達を泣かせた俺たちも悪い子だよ」」とルク子と二人を撫でた。

「悪いのは俺なのになんで…ばかだな…二人にはちゃんとくるよ、ツリーをたおしたのは俺だよってちゃんとサンタさんにいっておくから」

ルクがぎゅっと妹を抱きしめる。

「いい!いっしょがい〜の」
「るくにいちゃもいっしょがいーの」
「俺もルクちゃんと一緒がいいなぁー」

一緒、一緒と騒ぐ三人にいつの間にかルクも笑っていた。










「…っ」

ついつい、うたた寝してしまい慌てて体を…。

「起こせねえ…」

左にアシュ兄、右にルー兄。
それからその右にルー、ルカ、アシュ姉。

「なんだよ、みんなして」

降りだした雪を尻目になんだか暖かさに眠くなってきたのでまた寝ることにした。






X'mas coming soon ...





END





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