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「相変わらず…」
「腐ってるな」

ボロ雑巾のような服を着て横たわる人々…いや、大量のレプリカ。

「っこの、くそガキっ!」
「、っ!」
「こいつ、レプリカじゃねぇか」

舐めまわすような男の目がその子供を捕える。

「ルーク、行くぞ」
「でも、ルカくん…」
「どうせ、この歓楽街じゃ生きられやしねぇ」
「…先、行ってて」
「おい、ルーク!」

止めるのも聞かず、ルークはそこへ走り出す。
ルカが顔を覆って深く息を吐いた。

「レプリカは人間様には逆らえない」
「ぐ、…」
「なんたってお前たちにはルールがある」
「あああっ!!!」

男の足が無惨にもレプリカの体を踏む。

「人間の命を奪ってはいけない、人間に殺意を抱いてはいけない、人間を傷つけてはいけない、人間を」
「どうかな」
「なんだ、てめぇ?」
「ルールのないレプリカがいたとしたら?」
「ルールがないだと?」
「…もう、死んでるやつに答えても無駄だけど」

ブシュッ!!!
と血がふきだし、音がして、男はぶつぎりになる。
血がツゥッと何かを辿り流れてキラリと光る。

「ああ、君、動かないでこの線に触れたら君も切れちゃうから」
「あと一匹どうすんの?」
「好きにしてルカくん」
「りょーかい」

あっというまの、血だまりにカタカタとレプリカは震える。

「命びろいしたなァ、坊主」
「じゃあね」

ルールがないレプリカはいない。
彼等は人間に従順なペットとして作られたのだから。
しかし、ルークたちは別。

「ルーク、頬、うすかわ切れてる気を付けろよ…お前元は「ルカくん」

不機嫌なルークの声がルカを止める。
人差し指が唇を押さえた。

「、と悪い」
「うん、許す」

それからなんとなくの二人は喋らずに黙々と歩き続けた。

「…あの二人か」
「すごく、幸せそうだけど」

ビルの屋上へ続く、階段の踊り場に腰かけて数十分ぶりに言葉を交す。
そこに広がるのは、ごくごくありふれた夫婦の光景。

「剥いだら錆びだらけなんじゃねぇの?」
「…愛してるってどういうことなんだろ…」
「さぁな…」

ルークがそっとルカに寄りかかる。

「俺たち、なんでこんな時代に生まれてきたんだろ」
「…わかんねぇ」

下見が済んだ家を見下ろすと風が微量に吹いてルカの髪がさらさら揺れた。












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