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人間の快楽のためだけに造られた、セクサロイド、通称レプリカ。
むせかえる程の薔薇が咲いたここは、その光景の通り名を薔薇館という。
多くのレプリカが集うこの場所にルークはルカに拾われた。
「おかえり、二人とも」
「たっだいまー、ガーイ」
「…ただいま、ガイ」
「湯編みの用意は出来てるよ」
「おっわりぃーな、ガイ」
「ガイ…いつも言うけどそんなことしなくてもいいんだよ」
なんたってこの館の主なのだから。
「馬鹿だな、うちの可愛いレプリカたちだぞ…それを守るのも俺の役目だ」
ニッコリと青年は笑う。
「それに、ルーク…お前は表仕事をしなくてもいいんだぞ?」
「ダメ、そういうわけにはいかない」
表は娼婦の館。
裏では、政府直属依頼、民間団体、一般人からの依頼を受け死刑執行、殺人を行うのがこの薔薇館だった。
手早くルークは仕事をするために、ゆるゆるとしているルカを置いて出ていく。
「ルカくんまた後でね」
「おー、後でなー」
甘くあえぐ声と、薔薇の香りが薫るここでルークは、ただ足を開く。
シルクのベットはさらさらしていて寝心地は申し分ない。
(ん、眠い、かなぁ)
目隠しをされたルークは相手を追うこともできないためただ、そんな別のことを考えてしまう。
「随分、だるそうだな」
「ア、ん…きょ、はちょっと走り回ってて、ッア!…お気に召さないのなら別の子を代りに、」
「いや、お前がいいんだ」
どうやら相手の男は長髪のようだ。
髪の毛が、体を擽り…それはまるでたわいもない愛撫のようでルークは体をくねらせる。
「あぁっ!」
「敏感だな、いい反応だ」
「ん、だんなさまぁ」
「どうした?」
「ルーク、るーくをもっと愛してください」
嗚呼。
誰か骨の髄までしゃぶって。
そのくらい、自分を愛して。
この時間は好き、その欲求が満たされるから。
「ん、ふ、ぁっ!あぁっ」
「ルークっ」
体も心も満たされてルークは小さく息を吐く。
「だんな、さま?」
「また、来るルーク」
「はぃ、いつでも…」
相手の顔をルークは知らない。
最後まで目隠しをされたまま、あとは店の子が迎えに来てくれるのを待つだけ。
「ルーク、迎えにきたよ」
「ありがとう、アニス」
「どう致しまして…今日もスゴいねぇ」
「な、何言ってんだよ!恥ずかしいから早くっ」
「はいはい」
急に恥ずかしくなってアニスを急かすと、くすくすと笑いながら目隠しをといてくれた。
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