無題1







もし、できるならば。
(もし、できるならば)


俺は、あの運命を変えたい。
(俺は、俺の運命を断ち切りたい)




「ここは始まりの場所だ、叶えるがいい、我が同位体」

ローレライの声が響き目を開けるとルークは見慣れた自分の部屋にいた。
激闘の傷も、何もない。
まるで時間だけが戻されたようにルークはそこにいた。

「日付が…」

ティアとタタル渓谷に飛ばされるもっと前のカレンダーにルークは拳を握る。

(これがローレライのくれたチャンスなら)

俺は変えたい。
救いたいんだ、アクゼリュスを。
カレンダーの日付を指でなぞると外で人の気配がする。
思わず隠れてルークは様子を伺った。

「ルーク様、こちらが御召し物です」
「早く脱がせろよ」
「は、い!只今」

頬を赤らめるメイドは新入りなのだ、手もカタカタと震えていた。

「…はぁ」
「申し訳ありません!不慣れなもので」

すると上着を肌けたままのルークは、ふーんと笑ってベッドに腰かける。
ギシリとベッドが軋んだ。

「しろよ、ご奉仕…メイドの仕事だろ」
「ルーク様…」
「返事は?」
「はい…」

一方隠れていたルークは心の中で悲鳴をあげていた。

(あれ、本当に俺なのか!?)

濡れた音がぴちゃぴちゅと響いてきて、ルークは顔が熱くなるのが分かる。
自分には、こんな記憶はない。

「は、もっと舌使えよ」
「ん…ん、」
「下手くそだな、もういい」
「っ、ぁ、申し訳ございません」
「下がれ、夕食の時間まで休む」
「畏まりました」

顔を伏せていなくなったメイドにルークはため息を吐くと、つぎに小さく笑った。












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