君と僕の夏休み1
「ごめんね、ルカ…一人で大丈夫?」
「うん、母さん俺、一人で平気だよ」
大好きな母さんの入院。
俺の夏休みはこうしてドン底から始まった。
(ここが…)
今日から俺の住むところ。
緑と、青と…その他には何もない。
何故かその緑と青は自分を拒絶しているようで…とにかく憂鬱で。
ガシガシとルカは赤い長髪をかいた。
「ルカ」
「こんにちは、おじさん」
「ガイで良いっていったろ」
「着いたのね、こんにちはルカ」
「ナタリアおばさん」
「あらあら、ガイが呼び捨てなら私もナタリア、がいいわ…夏休みの間よろしくね、さぁ、こっちよ」
親戚、っていってもこの人たちは家族じゃない。
居心地の悪さを感じて小さく唇を噛んだことは自分以外知らない。
「お外で遊んでらっしゃい」そう言われて、外にでたものの。
(することなんてない)
家の周りを歩き回っていると、どこからか声がする。
ふと上を見れば木から何かが落ちてくる。
「よけて、よけてぇ〜!!」
「ば、」
落ちてくるものが人間なら、避ける人の方が希少だろうがとルカは思った。
「うわっ!!」
ドサッ!と音がして俺はなんとかその人間を落とさず受け止めることができた…その代わり自分の服はどろだらけだけど。
「ごめん、ごめんね!」
「ケガ、ないか?」
「俺は全然大丈夫、でも君が」
「いいよ、これくらい」
「…あ、れ君がルカくん?」
「そうだよ、お前誰だ?」
「俺はルーク!父さんからルカくんが来るって楽しみにしてたんだ!よろしくね」
そう言って、そいつは頭に葉っぱをつけたままにっこり笑って手を差し出した。
変なやつ。
それが第一印象。
でも、こいつと会った時、心臓がトクンと大きく鼓動したこと、俺は今でも忘れてない。
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