賭けたっていい



辺りが真っ暗になり、一つの音素灯がぼんやりとした明かりを作る。


コンコンと部屋に音が響き、本を読んでいたルカは小さく笑った。

「どうぞ」

入ってきたのは望みの人物。

「兄さま、あの」
「…」
「っ…」

椅子に座ったままの兄にルークはもう無言で抱きついた。

「ルーク…」
「…」
「仕方ない甘えん坊だ…ローレライよりユリアより俺を選ぶか」

顔を見せないルークは、こくりと頷く。
ルカはにやけるのをなんとかおさえて弟を抱き締める。
頭、額に優しく口づけるとルークはそっと顔をあげて自分から目を閉じてねだった。

「ンッ…」

なかなか開かないルークの唇に焦れったくなる。
脇腹を服の上から撫でるとくすぐったいのかうっすらと開いた。

「ん、ンンッ!」

するりと舌で撫でると弟は小さく声をもらした。

「にぃ、さま…」
「俺を選んだお前を誰よりも幸せにする」

"賭けたっていい"

「…愛してる」

その夜、部屋に響く甘い声は風ですべてかき消された。



END


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