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「お前に話したくないのはなんでだろうな」
「ある意味あの家はルカにとってコンプレックスだからだよ」
「ガイ…」
「よ、二人とも」

奇遇だと笑いながらガイは席いいよなと向かいに座り、お茶を注文した。

「あいつは多分ルークにそういうカッコ悪いとこ見せたくないんだろ」

ガイは笑いながら頬を杖をついてルークを見る。

「かっこつけだからな」
「アホだからな」

言いたい放題である。

「ルーク、もしだぞ」
「はい」
「ルカが、実家に帰ることになったらどうする?」
「どうするって?」

ガイの問いにルークは聞き返した。

「つまりな…勘当した馬鹿を連れ戻すような用事なわけだ」
「一日、二日でこっちに戻って来れるような用件じゃないだろうな」
「…」
「ルークはルカのこと待ってられる?」
「俺は…」

ルークが答えようと口を開いた途端、ガイの携帯のバイブが震えた。

「はい、もしもし」

電話の相手はアニスらしい。きんきんとした声が電話の向こうから響く。

『今、ルカがきて長期休暇取らせてくれって、どうしよう、ガイ…ルークに』
「知らせておくよ」

通話を切るとガイはルークを見た。

「俺は、散々、振り回されてきました…」
「ルーク」
「でも、ルカさんがわがままなのもカッコ悪いのも知ってます、今更巻き込まないとかそんなの無いですよね」

ルークの握り拳がぷるぷると震える。

「殴る」
「る、ルーク?」
「俺のこと巻き込んで振り回していいって教えてやる…行きましょう、二人とも」

ルークは完全に怒ってるのか握り拳をほどくことはない。
店をでると口を真一文字に結んで店に向かった。

「ルークにはなんていうつもりですか」
「待っててくれなんて言えるわけないだろ、いつ帰って来れるかわかんねぇんだから」

ジェイドが聞くとルカはため息をつく。

「あなたって人は「この甲斐性なし!」

店の扉が勢いよく開いてルークがずんずんと入ってくる。

「ルーク?」

すっと両手を開くと、ルカの頬を挟むようにパンッと叩いた。

「俺は!何年でも何十年でも待ってます!!!ルカさんがあっちで浮気しようが、帰ってきまいが、俺はずっと待ってます!!」
「ルーク…」

瞬間、ぶわっと泣き出してルカに抱きつく。

「ごめんな、ルーク…ホントにごめん」
「…おみやげ、忘れないでね」
「了解、ティーセットにしような…すぐに戻ってくるから…後、浮気なんてしねーよ」

ルークをなでまわすと、ルカは満面の笑みを浮かべた。

「まったく、世話のかかる奴」
「ルークー…」
「だめ、ルカ全然聞いてないよ」
「店開けるんだから邪魔よ」「もう、ルカさん、いい加減放してっ!」
「無理、このまま連れてきたい」
「ちょっとみんな見てる!いやぁ!!」

ちゅっちゅと頬や額にキスをしてくるルカを押しやる。

「はいはい、二人ともさっさとでてく!」

ぽーんと外に投げ出されると、しばらくぎゅうぎゅうと抱き締められてからルークはルカの運転するバイクに乗った。

「ルカさん」
「俺の生まれたところは紅茶が名産なんだ」
「…」
「いくら名家でも俺はこの通りちゃらんぽらんだろ、毎日遊びに歩いて、遊びに行ったとこでお茶飲ませてもらってさ」

美味かったなーと笑うルカにルークは黙って耳を傾ける。

「煎れ方なんて適当だったのにな」
「ルカさん」
「…一緒に連れてきたいけど我慢するし、待っててくれなんていうつもりなかったけど…俺のこと待ってて」
「もちろん」
「あんな家見切りつけて即行帰ってくるから」
「…仲直りしてきたらいいのに」
「嫌だね…そろそろ、空港行かなきゃな」

ルカはため息をついて面倒だと頬をかく。

「いってらっしゃい、見送りはここで」
「うん、ルークこれ」
「鍵?」
「この部屋のマスターキー、持ってて」
「了解、それじゃあ、ルカさん」
「あぁ、行ってきます」

ルークの額にキスを送るとルカは空港へと向かった。
残されたルークは最後まで見送るとクローバーのピアスを一撫でしてから小さく微笑んだ。







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