「おっつかれ〜」
「このくそ忙しい時に休みやがってこの野郎が」
「今日はお客なんだから、とっと案内しやがれ、アッシュのばーか」
「…アッシュさん」

ルカの後ろから恥ずかしげに顔をだしたルークに、アッシュは目を丸くして驚く。

「ルーク!?」
「お久し、ぶりです」
「ということはだ、賭けはお前の勝ちな訳だ」
「つーこと、鍵貸せよ」
「分かった、分かった…取り敢えず、こちらの席へどうぞ、お客様」

奥の席へと案内され、ルークは久しぶりのお店の雰囲気になんだか恥ずかしくなる。

「お帰りなさい、ルーク…無断欠勤なんていけない子ですねえ」
「ジェイドさん、すみませんっ俺」
「しっ、私は貴方から何も受け取ってませんよ、貴方のロッカーも制服もそのままです…後でシフトの調整をしましょう」
「ぁっ、はいっ!」

元気よく、頷いたルークにジェイドはにっこりと笑ってティアを呼ぶ。

「ルカ良かったわね、ルークもね、ご注文は?」
「コーヒーと紅茶」
「誕生日のお客様をお連れの方は、シェフのケーキをサービスしております」
「ルカさん、知ってたんですか」
「まぁなー」

アッシュがコーヒーとお茶を用意すると、ガイが自らケーキを持ってテーブルまでやってくる。

「おめでとう、ルーク」
「ありがとうございますっ」
「はーい、ルークっ!アニスちゃんからこれプレゼントだよぉ」
「これ」
「ネームプレート、ちゃーんとお店の正式のやつ!制服につけてね」
「うん!ありがとう、アニス」

大事に受け取ってから、ルークはケーキにかぶりつく。
スポンジはふわふわで、甘すぎず幸せな気分になる。

「美味しい」
「そいつは良かった、ルーク」
「はい」
「俺からのプレゼントはそれ」

綺麗に包装されたそれ。
開けるのを躊躇していると、早く開けてと頭を撫でられる。

「四つ葉のクローバーのピアス」
「ユニセックスな感じだから、全然おかしくないだろ」
「ありがとう、ルカさんっ」

ふにゃっと笑うルークが可愛くて、ルカ少しだけ頬を染めて恥ずかしそうにすると照れ隠しに、コーヒーを一口啜った。

「この店の由来知ってる?」
「いえ、知らないです」
「四つ葉の英語の頭文字とって、F.L.Cなんだよ、安易だろ」
「…言われれば、確かに」
「でもさ、大事な意味があるんだぜ、来てくれるお客様にも、働いてる店員も幸せになりますようにってな」
「幸せです…このお店が俺を幸せにしてくれました」
「店じゃなくて、俺の間違いじゃねぇの?ルーク」
「勘違いも甚だしいっ」
「可愛くねーなー」
「でも、そんなところも好きなんでしょう」
「んー?」

好きっていうか、愛してんだけど。
本当に鈍感もいいところだ。

「ルーク、四つ葉のクローバーの花言葉知らねーだろ」
「知らないですけど…」
「教えてやるから、耳貸せよ」

耳打ちをされて真っ赤になったルークにルカは満足そうに笑うと、ルークの左耳を撫でて、早くつけろよと促した。



END




“私のものになって”






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