ラブ・イズ・圏外



とんだ悪者扱いだ。
可愛い可愛い俺の弟は、中学生までお兄ちゃんお兄ちゃんと、まるでひよこみたいにくっついてきたのに今じゃそんな面影ゼロだ。

これも、クラスメイトのルカ・ジュエと付き合いだしてからだ。

好きな人ができたと聞いた時、百歩譲って女子なら許そうと思った。
ルークの好きになった女子なら間違いと思ったからだ。

「ルカ、ルカ・ジュエ先輩」

箸の間に挟まっていたコロッケがボトンとキャベツの中に落ちた。
よりによってあの男かとアッシュは怒りに震える。

「駄目に決まってるだろうが!!ルーク、女なら百歩譲ってあいつは男だ、お前が傷つくに決まってるだろ」

まだ、入学して一ヶ月だ。
今後あの学校で過ごしていかなくてはならないのに、弟が後ろ指を刺されるかと思うとアッシュには耐えられない。

「勝手に決めないでよ、お兄ちゃんの馬鹿!大体人を見かけで判断するなとか言ってて、ルカ先輩のこと絶対今見かけで判断したでしょ!!」
「あいつは平気で学校にピアスをつけてくる奴だぞ!」
「今時、ピアスくらいで判断しないでよ!!この間の試験で三教科ルカ先輩の方が上だったからってひがまないでよね!」

とにかく、俺は告白するのと箸を叩きつけるようにテーブルに置いたルークにアッシュはため息を吐いた。
全く、誰に似たのか融通の聞かない。

そんなことが有りつつ、いつの間にか丸く丸く納まって学校であいつらを知らない奴はいなくなった。

「ルーク!飯ぐらいちゃんと食べていけ!」
「もう、とっくに食べたよ!お兄ちゃんの弁当も作った、それから俺、今日先輩のとこ泊まるから!じゃあね!」
「今、何て言った!?おい、ルーク!!!いくら優しいからって下心のない男はいないんだからな!!!ルーク!!!」

朝からアッシュの絶叫が響くが、ルークにはそんな絶叫が届くわけもなく、その日、夜通し携帯を鳴らし続けたが双方、反応することはなかった。



END



お題配布元:夜風にまたがるニルバーナ











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